2013 Fiscal Year Annual Research Report
原子力発電所などの高危険度施設の竜巻対策ガイドラインの提案
Project/Area Number |
24360232
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
田村 幸雄 東京工芸大学, 工学部, 客員教授 (70163699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 正宏 東京工芸大学, 工学部, 教授 (60350576)
吉田 昭仁 東京工芸大学, 工学部, 准教授 (90329219)
小林 文明 防衛大学校, 応用科学群, 教授 (80202068)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 竜巻 / 原子力発電施設 / 防災 / 突風 |
Research Abstract |
原子力発電関連施設,大規模燃料貯蔵施設,有害産業廃棄物処理施設などの,高危険度施設に対する竜巻の影響評価,対策ガイドライン策定をめざし,飛散物ポテンシャルの調査,竜巻の空気力学的性質の検討,設計用工学竜巻モデルの検討,海岸線に近い地域での被害確率の検討等を実施した。 飛散物の影響評価では,原子力発電施設で実施した現地調査結果に加えて,近年の竜巻災害の実態を把握するために報道資料等も精査し,また,人的被害にも着目し,飛散物や落下物の直撃による被害件数が人的被害の4割を占めることを明らかにした。また,強風の要因による飛散物発生報告件数では,竜巻による件数が,台風やその他の突風によるものに比べて多いことも明らかとなった。 竜巻の空気力学的性質については,移動可能な竜巻発生装置を設計し,上昇気流発生装置と組み合わせることにより,より再現性の高い竜巻状気流実験が可能な装置を開発した。また,移動する竜巻状気流に及ぼす地表面粗度の影響に関する実験を実施し,粗度の影響により旋回流の流れが乱され,床面圧力の絶対値が低下する等,渦の減衰を示唆する結果が得られた。 設計用工学竜巻モデルについては,気象庁の発生数統計値が主として被害の痕跡や漏斗雲の目視に頼っていること,地域性や地理的要因により大きく発生頻度が異なることなど,竜巻リスクを過小評価しがちな要因があることを明らかにしながら,設計で考慮すべき竜巻の特性を反映させて竜巻のモデルを設定する方法を明らかにした。この手法には特に日本の竜巻発生頻度が海岸線付近で高いことが考慮されていることが重要である。 さらに,竜巻発生件数の多い米国における竜巻が原子力発電施設に与える影響についての過去の事例収集を進め,より現実的な視点からの高危険度施設への竜巻対策ガイドライン策定を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定している研究項目については,順調に進展している。飛散物の影響評価については,近年の竜巻被害実態の調査を精力的に実施し,データをまとめたほか,平成25年9月に北関東で同時多発的に発生した竜巻被害の調査なども緊急的に実施している。竜巻状旋回流の空気力学的性質については,装置の設計開発,実機製作を完了した。また,竜巻状気流発生装置を用いた実験的研究として実施された内容は,前述の竜巻被害調査時に現地の状況から得られた情報がヒントになっており,複数の研究項目間の連携をとりあいながら,より総合的な評価手法の開発に結び付ける努力をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
竜巻は気象学的にも局所的な突発現象であり,さらにそれによる被害は,まず,空気力学的な作用から始まり,引き続いて生じる飛来物の衝撃等が,人命や構造物に与える影響が著しい。これは,いくつかの点で検討すべき項目を飛躍的に増大させることになる。まず,地面に平行な成分が卓越する通常の強風で想定される定常ランダムな過程が成立しないことは,従来の構造物の空気力学的評価が直ちには適用できないこと,また,その影響に与える要因が非常に多岐わたることを意味する。また,被害メカニズムとしては,空気力学的作用と同時に,飛来物の衝撃等も関連する複雑で複合的な力学現象を考慮しなければならない。これらは,それぞれの評価項目において,風工学のまとまった研究課題になりうるほどの波及効果のある内容である。また,竜巻自体の評価方法や統計的な性質も,現在,産官学の協力による見直しが始まっており,本研究は,これらの状況も踏まえながら,より精度の高い評価手法を目指す必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた,竜巻状気流発生装置の開発について,駆動および装置支持装置の設計製作が主体になった結果,周辺機器の整備が平成26年度に実施されることになったため。また,平成25年9月に北関東で同時多発的に発生した竜巻被害は,総覧的な視点で現象を捉えることの重要性を示唆することとなったが,この事象の重要性に鑑み,特に即時性の高い,この竜巻被害の分析に関する検討を先行させることとなったことによる。 当初予定に加えて,竜巻状気流発生装置の周辺整備,気象学的な竜巻の分析に次年度使用額分を追加し,平成26年度の研究を実施する。
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Research Products
(14 results)
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[Presentation] 竜巻の観測2013
Author(s)
小林文明
Organizer
第18回日本気象学会中部支部公開気象講座
Place of Presentation
名古屋
Year and Date
20130823-20130823
Invited
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