2013 Fiscal Year Annual Research Report
混乱原理に基づく高エントロピー・バルク金属ガラスの創製、性状の解明と応用化
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24360284
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹内 章 東北大学, 金属材料研究所, 特任教授 (40250815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
網谷 健児 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (30463798)
湯葢 邦夫 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00302208)
和田 武 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (10431602)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高エントロピー合金 / バルク金属ガラス / 合金設計 / 混合エンタルピー / 原子寸法差 / 周期律表 / 体心立方構造 / 金属間化合物 |
Research Abstract |
本年度は、鋳造法で作製した直径1.5mmのAl0.5TiZrPdCuNi高エントロピー合金がbcc単相として生成することを見出して論文発表した。このAl0.5TiZrPdCuNi合金は、液体急冷法でリボン状試料として作製した場合、ガラス相が得られる特異的な性質を示し、高エントロピーバルク金属ガラスに近い特徴を有することを明らかにした。また、これまでの知見を纏めることにより、高エントロピー合金とバルク金属ガラスの合金設計の類似点に着目して、それぞれ、異なる物理量のデルタパラメータおよびミスマッチエントロピーで評価されていた両合金の原子寸法差の因子の相関を導出することに成功した。この相関に基づく解析を行った結果、上述のAl0.5TiZrPdCuNi合金は、通常の高エントロピー合金よりも原子寸法差の効果および混合エンタルピーの効果がガラス合金に近い状態であることが判明した。さらに、最大10元系までの等原子分率合金について、新規の高エントロピー合金を見出すために、計算機科学による合金探査を行った。以上の研究成果は、今年度の3編の論文として発表している。計算機科学を利用した合金探査で得られた5元系等原子分率合金の特徴を解析した結果、およそ5万種類の高エントロピー合金の候補の中で重希土類元素の5元系等原子分率合金を新規高エントロピー合金の候補として絞り出すことに成功した。この計算結果に基づき、実際に実験を行った結果、重希土類系の5元系等原子分率合金において、これまで見出されていなかった六方稠密構造を有する高エントロピー合金をで見出すことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計算機科学を利用した合金探査方法が確立され、実際に、重希土類系の5元系等原子分率合金でこれまで見出されていなかった六方稠密構造を有する高エントロピー合金を見出すことに成功するなど、科学技術的な進展が認められる。高エントロピーバルク金属ガラスの合合金探査自体は、競合研究者の世界的な動向を見る限り、やや遅滞傾向にあるが、バルク金属ガラスの観点からアプローチする我々の着眼点に誤りはなく、結晶系を主とする高エントロピー合金の研究界からも高い評価を受けている。今後とも、高エントロピー合金の学術界に旋風を引き起こす準備が充分にできている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の3年目には、希土類元素を中心とした構成元素から高エントロピーバルク金属ガラスの開発を行う計画である。さらに、希土類元素に対してAlならびに後期遷移金属等を添加した場合について合金探査を行う。一方、計算機科学を利用した高エントロピーバルク金属ガラスの合金開発方法の更なる改良を目指すとともに、開発した高エントロピーバルク金属ガラスの特性を調査して、本研究課題の最終目標である応用化の実現に向けて準備を進める計画である。
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Research Products
(7 results)