2012 Fiscal Year Annual Research Report
世界最高強度610MPaマグネシウム合金の強化機構の解明とさらなる機械的性質の改善
Project/Area Number |
24360303
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
三浦 博己 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (30219589)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マグネシウム合金 / 多軸鍛 / 機械的性質 / 超微細粒 / 変形双晶 |
Research Abstract |
マグネシウム(以下Mg)合金は実用金属材料中、最も高い比強度を有するため、輸送機器等の軽量化と省エネルギー材料として注目されていが、加工性と強度不足により構造部材への適用に対する大きな障害となっていた。 Mg合金の高強度化の手法として・希土類元素があるが、希土類元素が高価な戦略物質であることや、加工性が著しく低い等の問題がある。 本研究では、単純な「冷間多軸鍛造」(ColdMulti-Directional forging/MDF)を用いて、希土類を必要としない世界最高強度マグネシウム合金鍛造材を創製することを目的とする。 構造用Mg合金として知られている市販AZ80Mg合金に、冷間MDFを施した。各試験片の鍛造軸に平行な縦断面に対し、光学顕微鏡、TEMを用いて組織観察を行った。また、ビッカース硬さの測定、室温引張試験を行い、機械的性質について調査を行った。 パス間ひずみを△ε=0.1としたことにより、累積ひずみΣ△ε=2.0までの室温大ひずみ加工に成功した。鍛造ひずみの増加と共に双晶が大量に導入され、結晶粒の微細化が、TEM、OIM観察によって確認された。特に、MDF中の高負荷により、圧縮双晶/引張双晶の複合的な多重双晶が、結晶粒微細化に大きく貢献していることが明らかとなった。 最大引張強度は累積ひずみΣ△ε=2.0で、650MPaが達成された。これは報告者の知る限りマグネシウム合金での世界最高強度である。その塑性延びは10%大きく、極めて機械的特性のバランスに優れたマグネシウム合金が得られた。 高強度にもかかわらず大きな塑性伸びは、OIM観察の結果から、多重双晶の発達が結晶方位のランダム化をもたらしたことによると結論された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度で世界最高強度の引張強度を更新し、引張強度650MPaのマグネシウム合金を創製した。しかも機械的性質のバランスに優れ、塑性伸び10%を有し、今後の軽量構造部材としての可能性が期待される。また、その高強度化をもたらす結晶粒微細化機構は、圧縮双晶と引張双晶の複合的な高密度発達によってもたらされ、同時に、鍛造時の非底面すべりの活動によるひずみ硬化も強度上昇に寄与していることを明らかとした。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究項目について得られた実験結果を整理し、それらを踏まえて追加実験を行う。特に、結晶粒微細化をもたらす、多重双晶の発達について詳細に調査を行う。同時に、従来の降温多軸鍛造法によって得られたデータとの比較を行う。
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