2012 Fiscal Year Annual Research Report
福島原発事故によりセシウムで汚染した土壌の合理的な処理・処分法
Project/Area Number |
24360369
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 努 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10313636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小暮 敏博 東京大学, 理学系研究科, 准教授 (50282728)
名和 豊春 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (30292056)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地質汚染修復 / セシウム / 土壌汚染 / 環境修復 |
Research Abstract |
本研究では、福島第一原子力発電所事故で環境中に放出されたセシウムと土壌中の粘土鉱物の関係を処理・処分の観点から明らかにするとともに、汚染土壌から粘土鉱物フラクションを効率よく分離し処分する土壌の減容化を可能とする分級方法を検討するとともに、実施の可能性の高い合理的で安全なセメント固化法について提案することを目的とした。今年度は、福島における汚染土壌の実態調査をおこない現地土壌内のセシウムの存在形態を明らかにするとともに、実汚染土壌を用いた分級実験、珪藻土を用いた懸濁体セシウムの現場捕集実験、実汚染土壌の高分解能透過型電子顕微鏡観察、安全性の高い固化用セメント材料の検討を行った。様々な利用形態の土壌中のセシウムの存在状態を調べたところ、水に可溶および交換性のセシウムは10%程度で、残り90%程度は粘土鉱物に固定化された懸濁体であることが判明した。また、この懸濁体セシウムは、多孔質天然材料である珪藻土によって捕集可能であることが明らかとなった。このセシウムを固定化している粘土鉱物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、放射性セシウムを多く吸着している粘土鉱物はFe含有Al系スメクタイトであることも明らかとなった。さらに、固定化されている粘土鉱物は、通常土壌汚染対策等で採用されている湿式分級法により分級可能で、分級により細粒分を除いてから研磨作用をもたせた処理と分級洗浄を行う方法により,分級洗浄による放射性セシウムの分離効率を著しく向上できることが明らかとなった。以上のことより、土壌中のセシウムの多くはFe含有Al系スメクタイトに固定化され、それを大量に含むフラクションを分級すること、移動するとしてもそれ含んだ土壌粒子が懸濁・移流することによるので捕集すること、これらの技術を合理的かつ効率的に行うことでより効率的な除染が可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施している内容に関しては、実施後に新たな課題として見出されたものもあるが、そもそも困難な課題を実施していることから想定内のものである。ホームページの作成・公表には時間を要し多少遅れ気味ではあるが、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
放射性セシウムを固定化した粘土鉱物の分級方法に関しては、通常土壌汚染対策等で採用されている湿式分級法が使えることが判明したので、今後は森林地帯から懸濁体として流れる放射性セシウムを固定化した粘土鉱物の回収法について現場試験を継続して明らかにしていきたい。また、高分解能電子顕微鏡観察の試料調整法にも改良を加えていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度には、セメント固化の候補材料の選定を終了して溶出試験を開始する予定であったが、選定に時間がかかり開始が遅くなった。この試験費を次年度の直接経費として繰越し、早期に試験を開始する予定である。
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Research Products
(4 results)