2013 Fiscal Year Annual Research Report
福島原発事故によりセシウムで汚染した土壌の合理的な処理・処分法
Project/Area Number |
24360369
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 努 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10313636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小暮 敏博 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50282728)
名和 豊春 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30292056)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地質汚染修復 / セシウム / 土壌汚染 / 環境修復 / 粘土鉱物 |
Research Abstract |
本研究では、福島第一原子力発電所事故で環境中に放出されたセシウムと土壌中の粘土鉱物の関係を処理・処分の観点から明らかにするとともに、汚染土壌から粘土鉱物フラクションを効率よく分離し処分する土壌の減容化を可能とする分級方法を検討するとともに、実施の可能性の高い合理的で安全なセメント固化法について提案することを目的とした。 今年度も昨年に引き続き、福島における汚染土壌の実態調査をおこない現地土壌内のセシウムの存在形態を明らかにするとともに、汚染土壌減溶化のための実汚染土壌を用いた化学抽出実験、様々な環境における珪藻土を用いた懸濁体セシウムの現場捕集実験、実汚染土壌の高分解能透過型電子顕微鏡観察、除染に用いた吸着材の固化用セメント材料の検討を行った。河川を流れる懸濁体セシウムのほとんどが水や酢酸アンモニウムにでは抽出できない粘土鉱物等に固定化された状態であることが判明した。また、この懸濁体セシウムは、多孔質天然材料である珪藻土によって捕集可能であるが、流速の早い河川ではほとんど回収できなかった。セシウムを固定化している粘土鉱物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、放射性セシウムの多くは粘土鉱物のエッジの部分に濃集しているだけではなく、広く層間に分布していることも明らかとなった。さらに、セシウムを吸着したゼオライトは、セメント固化により溶出量を抑えられることも明らかとなった。以上のことより、土壌中のセシウムの多くは粘土鉱物に固定化され、それを大量に含むフラクションを分級すること、移動するとしてもそれ含んだ土壌粒子が懸濁・移流することによるので流れが緩やかな河川等で捕集すること、また除染等で使用されたゼオライトは、そのままではセシウムを溶出してしまうが、セメント固化等により安全に処分できること等が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施している内容に関しては、珪藻土の設置場所によって捕集効率が違うなど、実施後に新たな課題として見出されたものもあるが、そもそも困難な課題を実施していることから想定内のものである。ホームページの作成・公表にはサーバーに問題があり時間を要し多少遅れ気味ではあるが、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
放射性セシウムを固定化した粘土鉱物の分級方法に関しては、通常土壌汚染対策等で採用されている湿式分級法が使えることが判明した。しかし、固定されている鉱物は二次元に広がった扁平な結晶であるので、サイクロンなどの分級技術が使えるかもしれない。また、高分解能電子顕微鏡観察で判明したセシウムを固定する鉱物やセシウムの化学形態が、福島県の他の汚染土壌でも適応可能かどうか、様々なタイプの土壌で確認する必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度に計画していた試料採集と分析を次年度に行うこととなったため。 試料採集と分析のための費用に充当する。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Mineral Synthesis in Si-Al-Ca Systems and Their Iodide Sorption Capacity under Alkaline Conditions2013
Author(s)
Liu, X. J., Asai, A., Sato, T., Opiso, E., Otake, T., and Yoneda, T.
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Journal Title
Water Air and Soil Pollution
Volume: 224
Pages: 1442-1455
DOI
Peer Reviewed
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