2012 Fiscal Year Annual Research Report
高速粒子駆動巨視的不安定性によるトロイダルプラズマMHDスペクトロスコピー
Project/Area Number |
24360386
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
東井 和夫 核融合科学研究所, 名誉教授 (20093057)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高速イオン / アルヴェン固有モード / 高周波帯状流 / 揺動周波数スペクトル / 回転変換分布 |
Research Abstract |
高速イオン励起のアルヴェン固有モード(AE)の周波数と空間構造から閉じ込め磁場の回転変換(1!2π)あるいは安全係数(q)分布を精度良く推定するMHDスペクトロスコピー法の有効性を、LHD(ヘリカル型装置、核融合科学研究所)とKSTAR(トカマク、韓国国立核融合研究所)で観測された複数のAEを用いて調べた。モード周波数がv2πあるいはq分布の変化に敏感に依存するAEとしては反転磁気シアアルヴェン固有モード(RSAE)、大域的アルヴェン固有モード(GAE)等が考えられる。 LHDでは、すでにRSAEが観測され、その周波数の時間変化から反転磁気シアの1/2π分布の非中心極小値が有理数の2/3,1/2及び1/3を通過する時点が正確に予測されている。これに加え、電子密度の緩やかな増加に対し、モード周波数も同様に増加する高速イオン励起AEが新たに見出された。その周波数は[k_<//>v_A/(2πR)]_<min>(k//:AEの磁場方向波数、R:トーラスプラズマの主半径)でよく表され、プラズマ中心部に励起されたGAEと推定される。このモード周波数の時間変化から、プラズマ中心の回転変換t(0)/2πの時間発展を精度よく推定できる見通しが得られた。さらに、KSTARトカマクでも、トカマクでは初めて、トロイダルモード数nがn=0でないGAEが観測された。この揺動は鋸歯状振動を伴うプラズマで励起され、モード周波数の時間変化からプラズマ中心でq(0)<1が維持されているという興味深い結果が得られた。これは、トカマクの鋸歯状振動の物理研究に新たな情報を提供することになるものと期待される。 LHD及びKSTARプラズマにおいて、RSAEだけでなくGAEも高速イオンによりかなり容易に励起され、それらがMHDスペクトロスコピーに有効に利用できる見通しが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初案では、ヘリカル装置プラズマを用いてMHDスペクトロスコピーに適用可能なアルヴェン固有モード(AE)の励起を行い、その周波数と空間構造の計測からその手法の有効性を明らかにすることを目指した。ただ、AEの空間構造の計測が不十分であった。一方、LHDに加えKSTARトカマク(韓国)での研究展開を図り、対象とするアルヴェン固有モードがトカマク及びヘリカルプラズマでかなり容易に励起され、同手法が広範なq分布のプラズマに有効に適用できる見通しを得たことは大きな進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
LHDやKSTARトカマク(韓国)等のプラズマにおいてRSAE,GAE等のアルヴェン固有モードさらには、高速イオン励起の高周波帯状流を利用してMHDスベクトロスコピーを試みる。LHDでは回転変換分布が既知の低ベータプラズマ、トカマクプラズマでは鋸歯状振動プラズマと反転磁気シアプラズマにおいて、広範なプラズマパラメータ領域でMHDスベクトロスコピーの有効性を明らかにすることを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
比較的少額の当該助成金が生じた理由は、旅費が当初の予定より低減できたことによる。 翌年度の研究費と合わせて、既設の軟X線検出器アレイや高速応答Hアルファ光揺動計測機器の充実を図り、高速イオン励起不安定性の空間構造の計測の進展を図る。
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