2013 Fiscal Year Annual Research Report
ゼオライトを用いたヨウ素・セシウム高除染性フィルターベントシステムの開発
Project/Area Number |
24360388
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
奈良林 直 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10419947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 修彰 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (70154078)
辻 雅司 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70091478)
千葉 豪 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50421524)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際調査 / ドイツでの性能認証 |
Research Abstract |
研究の目的」福島第一原子力発電所では、内圧上昇や過熱蒸気により格納容器からリークや破損が生じ、やはり放射性物質を飛散させた。フィルターを通して放射性物質を除去してからベントすべきであった。加えて、格納容器を水や空気で冷やす崩壊熱除去系が必要であった。本研究では、世界一安全な発所電を目指し、高性能なフィルタードベントシステムの構築を目指す。特に、放射核種に対するゼオライト粒子の放射性物質吸着性能を向上させ、「ゼオライトを用いたヨウ素・セシウム高除染性フィルターベントシステムの開発」を研究目的とする。 「研究の具体的内容」(1)ゼオライトを用いた放射性核種吸着実験(東北大学) ゼオライト吸着剤をいたバッチ試験を行い、水蒸気中の放射性核種の除去・分離特性を調べた。RI使用施設にて取り扱いが可能なRIトレーサーから成る模擬水を用いて放射性核種吸着実験を行った。(2)ゼオライトフィルターカラム試験(北海道大学) 実機で想定される温度、圧力の蒸気を用いてゼオライトを円筒状のカラムに充填し、流動様式と圧力損失、水温上昇や流動状況を確認した。蒸気がゼオライト粒子内を均一に上昇するか、突沸などの不安定流動が発生しないか、ゼオライト粒子や水滴が飛散しないかなど、安定な流れが維持できる蒸気流量や水温などのパラメータ範囲を確認した。(3)フィルタードベントシステムの成立性評価(北海道大学)実機フィルタードベントのシステムとしての除染能力が確実に向上されるように、機械学会にフィルターベントシステム検討WGを設置し、システムとして要件整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
セシウムの吸着のみならず、無機ヨウ素や従来吸着が困難であった有機ヨウ素を吸着可能な高性能な銀ゼオライト(AgX)が、宮城県古川市のラサ工業で商品化に向けたヨウ素吸着試験により、ドイツの認証機関TUVにて認定された。除染係数DFは、有機ヨウ素では世界最高の10000に達した。この吸着性能により、当初の予定を上回るフィルター性能が得られる見通しが立った。この高除染性銀ゼオライトのサンプルの提供を受け、北大に設置した高さ4mの大型試験装置に組み込み、実機相当の高温蒸気をボイラーから供給し、耐久試験も実施した。この結果、蒸気に晒されたAgXの粒子の溶解や細粒化は発生せず、フィルターとしての機能が継続することを確認した。また、超高圧電子顕微鏡を用いて、銀ゼオライトの微細構造の劣化状況の有無を詳細に観察し、性能に影響するような変化が無いことを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
海外のフィルターベントのメーカであるアレバ社やスイスのライプシュタットのフィルターベントの調査を行い、国際的な性能標準を把握するとともに、銀ゼオライトの吸着性能が高まるように粒子表面の水膜厚さを薄くするメカニズムを強化することを実験により確認する。平成25年3月19日には、北海道大学において、日本機械学会動力エネルギーシステム部門に設置された「原子力安全規制の最適化研究会」のフィルターベントワーキンググループの会議および装置の見学会を開催した。国内の原子力発電所に向けて、フィルターベントの設置が既に平成25年7月新規制基準で法制度化されたので、参加したメンバーの感心は非常に高く、熱心な技術討論が行われた。これを受けて平成26年度は、機械学会の同ワーキンググループで、フィルターベントの作動手順や作動時の蒸気圧力・温度などのパラメータの範囲、過酷事故時の運用方法に関して技術検討会を実施し、研究ニーズと採用に向けた積極的な取組みを実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の展開において、実験方法の見直しと、それに伴い当初予定していた装置の改良を次年度に行うため、当該基金を次年度に繰り越した。 今年度の実験装置の作製おいて、反応容器の改良、放射性試料の取扱器具およびRIの購入に使用する。
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Research Products
(6 results)