2012 Fiscal Year Annual Research Report
魚類における配偶システム・雌雄同体性の系統進化と脳内ホルモン遺伝子に関する研究
Project/Area Number |
24370006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
須之部 友基 東京海洋大学, 水研科学フィールド教育研究センター, 准教授 (00250142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国吉 久人 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (60335643)
坂井 陽一 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (70309946)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 配偶システム / 雌雄同体現象 / 脳内ホルモン / 系統進化 / 魚類 |
Research Abstract |
ハゼ科アオギハゼはサンゴ洞窟内の中層に3-100尾以上の複雄群を作っており,双方向性転換の能力があるが主に雌性先熟的な性転換を行う.本研究では,本種の配偶システムを調べるために奄美大島で採集した50個体(雄3個体,雌47個体)をイラストマーで個体識別し,飼育条件下で観察を行った.サイズは雄が雌より有意に大きかった.産卵は主に昼頃に行われる.水槽内に設置した塩ビパイプを雄が産卵床として占拠し訪れた雌に対して体側誇示を行い,産卵床へと誘導する.産卵が終了すると雌は産卵床から離れ,その後は雄が孵化まで卵保護を行う.その結果,配偶システムはなわばり訪問型複婚であることがわかった. 飼育観察中,雄が存在しているのにも関わらず雌が雄へ性転換したため,ハタ科キンギョハナダイと同様に一定の性比に収束するように性転換が起こることが考えられた.そこで,水槽から雌を5個体ずつ25個体になるまで別の水槽へ移動する実験を行った.その結果,移動先で3個体の雌が雄へ性転換した.したがって,性比が雄:雌=1:6~9になるまで性転換が起こることが示唆された. 飼育実験終了後,本種の頭部からVT/IT関連遺伝子のmRNAの配列を決定しようとしたが,決定するまでにはいかなかった.また,全長cDNAの配列についても同様の結果だった,
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
9.で述べたように計画通りに飼育実験を実施し,アオギハゼの配偶システム,産卵時刻,体サイズと産卵数の関係,成長率等,本種の生態に関する基礎データを得ることができた.さらに水槽移動実験により群れにおける性比調節があることを示した.また,雌から雄だけでなく,雄から雌への逆方向性転換が明らかとなった.しかし,VT/IT関連遺伝子については全長cDNAの配列を取得まで至らなかったので25年度に改めておこなう.
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Strategy for Future Research Activity |
25年度はオヨギベニハゼの配偶システムと性転換の方向を飼育観察により明らかにする.その後,アオギハゼと共にVT/IT関連遺伝子の全長cDNAの配列を取得する.26年度は同様にカスリモヨウベニハゼについて研究し,27年度には3種を比較し,系統関係から各種の配偶システムと雌雄性の進化の道筋を解明する.
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Research Products
(3 results)