2013 Fiscal Year Annual Research Report
魚類における配偶システム・雌雄同体性の系統進化と脳内ホルモン遺伝子に関する研究
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24370006
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
須之部 友基 東京海洋大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00250142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 陽一 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (70309946)
国吉 久人 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (60335643)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 配偶システム / 雌雄同体現象 / 脳内ホルモン / 系統進化 / 代替戦術 / ハゼ科 |
Research Abstract |
ハゼ科ベニハゼ属アオギハゼおよびオヨギベニハゼは属内でも単系統グループを形成し互いに近縁である. 両種は共にサンゴ礁の洞窟内の中層で混群を形成し,双方向性転換の能力があることが知られている. また,配偶行動や性転換に関係し,配偶システムとの関わりが示唆されているホルモンとして,脳内ペプチドホルモンであるアルギニンバソトシン(AVT)・イソトシン(IT)が知られている. 24-25年度を通じて両種の配偶システムの観察とともに,AVT・ITの塩基配列解析を行い,配偶システムに関する遺伝的基盤についての知見を得た. 24年度のアオギハゼに引き続き,25年度はオヨギベニハゼを研究した.本種では雌が雄より有意に大きく,雄性先熟的な性転換を行うことが予測された. 性転換現象が進化する条件は,配偶システムが深く関わることが体長・有利性モデル(Size-advantage model,以下SAモデル)によって予測されている. SAモデルによると,オヨギベニハゼは雌の配偶者選択がないランダム配偶であると予測される. そこでオヨギベニハゼの配偶システムを明らかにするために,鹿児島県奄美大島で採集した個体を水槽で飼育し,繁殖行動の観察を行った. その結果,オヨギベニハゼはなわばり訪問型複婚であるが,決まった雄と雌がペアを継続させる一夫一妻的な配偶システム持つ場合があり,SAモデルが予測したランダム配偶とは異なる配偶システムであることが判明した. アオギハゼおよびオヨギベニハゼのAVT遺伝子は3 exon/2 intron,IT遺伝子は4 exon/3 intronから構成されおり,両種について比較を行うと,高い相動性を示した. したがって,配偶システムとの対応関係は確認されなかった. 今後は雌雄異体であるカスリモヨウベニハゼ等の別のベニハゼ属との対応関係を確認する必要性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に示した年次計画では24年度はオヨギベニハゼ・シマイソハゼ,25-26年度でアオギハゼ・カスリモヨウベニハゼの研究を実施する予定であったが,25年度までにオヨギべニハゼ・アオギハゼを終了した.またアオギハゼ・カスリモヨウベニハゼのAVT遺伝子は3 exon/2 intron,IT遺伝子は4 exon/3 intronから構成されており,高い相同性があることがわかった. 以上のように種によって年次計画とは順序が異なるが概ね順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況で述べたようにカスリモヨウベニハゼ・シマイソハゼに関する研究が未着手であるのでこれについて研究を進めたい.また,アオベニハゼの生殖腺が卵巣と精巣の双方が成熟しており,同時雌雄同体が予想されるのでこれについても26年度は予備観察を行う.またAVT/IT遺伝子はこれまでの結果では種間の違いが見出されていないので,受容体を含む別の領域も併せて探索する.
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Research Products
(10 results)