2014 Fiscal Year Annual Research Report
茎頂及び根端分裂組織の活性制御分子機構の相同性と相違点
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24370024
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
澤 進一郎 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (00315748)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分裂組織 / 植物 / CLEペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、構造の全く異なる二つの頂端分裂組織である茎頂分裂組織・及び根端分裂組織の活性制御機構において共通して機能するCLEシグナル伝達機構を中心に深く解析することで、植物における根端分裂組織と茎頂分裂組織の相同性、相違点についての知見を得ることを目的とした。 そのなかで、根端分裂組織で、ペプチドの下流で機能しうる因子、及び、茎頂分裂組織でペプチドの下流で機能しうる因子をそれぞれ、複数同定した。具体的には、根端、又は、茎頂でのペプチド耐性を示す突然変異体をそれぞれ探索し、複数の原因遺伝子を同定した。また、それぞれにおいて、茎頂と根端での機能の類似点と相違点について解析できた。 根端分裂組織で耐性を示した突然変異体の中で、原因遺伝子としてAGB1を論文として報告できた。AGB1は、根端も茎頂も、強い耐性を示した。また、RPK2受容体と共に機能することを明らかにした。このRPK2-AGB1経路は、茎頂、及び根端において共通に機能する物と思われる。また、根端分裂組織で機能する因子としてBAM1を同定した。BAM1は、茎頂分裂組織ではCLV1 の機能を補完する物として考えられており、ごく最近、CLV1のバックアップの機能があるとして他のグループにより報告された。CLV1が機能している通常状態では、BAM1は基本的に不要であると考えられている。一方、我々は、根端部でBAM1が恒常的に機能しており、単独の突然変異体でもペプチド耐性を示すことを明らかにした。BAM1をはじめとした受容体に関して、その組み合わせなどにより分裂組織の恒常性と機能が制御されていると考えられるが、その分子機構は異っていると考えられる。CLV1は根端では機能していないので、BAM1が最初から機能しているとも考えられる。分裂組織ごとに、利用している受容体の組み合わせが異なっていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書記載した研究の目的として、二つの頂端分裂組織の活性制御に関わる分子機構の共通点と相違点を明らかにすることを明記している。今回、それらに関わる分子について、複数同定することが出来た。AGB1について、茎頂分裂組織の機能をEMBO reportに、PUB4に関して、根端分裂組織の機能をDevelopmentに報告でき、現在、根端におけるBAM1に関して投稿中である。それぞれの突然変異体のもう一つの頂端分裂組織についての機能も、それぞれ明らかにしてきており、論文投稿準備中である。このように、当初予定していた計画よりも、大きな進展が見られていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
AGB1について、根端部での機能について解析をつづけており、論文としてまとめたいと考えている。PUB4 に関して、茎頂部での機能について、既に論文投稿しており、論文のリバイズにむけて、さらなるデータを取りたいと考えている。また、根端でのみ機能すると考えているCLEN3について、分子遺伝学的解析を進める。CLEN3に関しては、病害応答でも機能しうる可能性が有り、病害応答と分裂組織の維持機構のクロストークに関して調査を開始したいと考えている。
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Causes of Carryover |
26年度に、シロイヌナズナの分裂組織の形態を確認し、その、分子機構の解析を行う研究員を募集したが、適任者がみつからなかった。本実験に関しては、学生等の協力により、データ収集が可能となり、研究に遅れは生じなかったが、その再現性実験は必要不可欠であり、次年度に行いたいと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
AGB1について、根端部での機能について解析をつづけており、論文としてまとめたいと考えている。PUB4 に関して、茎頂部での機能について、既に論文投稿しており、論文のリバイズにむけて、さらなるデータを取りたいと考えている。また、根端でのみ機能すると考えているCLEN3について、分子遺伝学的解析を進める。CLEN3に関しては、病害応答でも機能しうる可能性が有り、病害応答と分裂組織の維持機構のクロストークに関して調査を開始したいと考えている。また、前年度行えなかった再現性実験に関して、詳細な解析を行うため、技術補佐員の雇用によりカバーしたいと考えている。再現性の確認実験であるため、研究員ではなく、技術補佐員でも可能であり、現在、その候補者が見つかっている。物品費に関しては、そのシロイヌナズナの分裂組織の形態に関する観察や生化学的解析に関する試薬等消耗品に利用したいと考えている。
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[Journal Article] A plant U-box protein, PUB4, regulates asymmetric cell division and cell proliferation in the root meristem.2015
Author(s)
Kinoshita, A, Hove, C.A., Tabata, R., Yamada, M., Shimizu, N., Ishida, T., Yamaguchi K., Shigenobu, S., Takebayashi, Y., Iuchi, S., Kobayashi, M., Kurata, T., Wada, T., Seo, M., Hasebe, M., Bilou, I., Fukuda, H., Scheres, B., Heidstra, R., and Sawa, S.
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Journal Title
Development
Volume: 142
Pages: 444
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Heterotrimeric G proteins control stem cell proliferation through CLAVATA signaling in Arabidopsis.2014
Author(s)
Ishida, T., Tabata, R., Yamada, M., Aida, M., Mitsumasu, K., Fujiwara, M., Yamaguchi, K., Shigenobu, S., Higuchi, M., Tsuji, H., Shimamoto, K., Hasebe, M., Fukuda, H., and Sawa, S.
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Journal Title
EMBO rep
Volume: 15
Pages: 1202-1209
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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