2014 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムから1遺伝子まで網羅的DNA配列情報を使った分子系統解析法の確立
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24370033
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
戸田 正憲 北海道大学, 学内共同利用施設等, その他 (40113592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 浩一郎 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (00254144)
和多田 正義 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (00210881)
加藤 徹 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80374198)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 系統 / ショウジョウバエ科 / cDNA / 100遺伝子 / 網羅的分子系統樹 / PCRプライマー / 国際情報交換 / 中国:英国 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)Drosophila亜属immigrans種群に属す2種とD. robusta種群の3種,melanica種群の1種,Zaprionus属の2種の合計8種の遺伝子配列を,MiSeqシーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析により決定した.得られたデータと2013年度に決定した6種(D. immigrans種群4種,Scaptomyza属1種,Drosophila亜属1種)の遺伝子配列,ショウジョウバエの13種のゲノム情報を合わせて分子系統解析を行った.その結果,D. immigrans種群は多系統群であることが強く示唆され,その一部はハワイ産ショウジョウバエと近縁であることがわかった. (2)Drosophila亜属内quinaria section の代表的な種群を形成する8種を対象にRoche 454 GS junior を用いて成虫のトランスクリプトーム解析を行い,昨年度解析したD. funebrisと合わせ,全種で共有する160遺伝子座程度を用いて系統解析を行った.その結果,新大陸産のショウジョウバエは単系統群になることがわかった.また,quinaria section の種群は1000~2500万年前に分岐したと推定された. (3)Drosophila属Sophophora亜属の分子系統解析をするために,既知のゲノム情報とトランスクリプトーム解析によって新たに得られた配列情報を用いて推定した200の候補遺伝子の中から,31遺伝子につて有効なプライマーを作成した.それらを用いて,melanogster種群とobscura種群の代表的な40種の配列を決定し,分子系統解析を行った. (4)Drosophila属Dorsilopha亜属は,その単系統性が検討されたことがなく,系統的位置も未解明であるが,この亜属4種,6遺伝子座の配列を新たに決定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度からIllumina MiSeqシーケンサーを使用したことにより,トランスクリプトーム解析の効率が上がり,比較的飼育が容易なショウジョウバエ(Drosophila)属については,系統樹の骨格となる種の情報が順調に蓄積している.また,それらの情報を使うことによって,PCRプライマーの設計も効率的に行えるようになってきている. ただ,飼育が難しい系統群のcDNA配列情報の蓄積が今後の課題として残っている.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)DNA塩基配列データの補足を,以下の分類群を中心に行う:Hirtodrosophila属,Zygothrica属,Zaprionus属,Sophophora亜属とその近縁群. (2)既知および本研究によって得られた,ゲノムから1遺伝子までの全てのDNA配列データを使って,ショウジョウバエ科の網羅的分子系統解析を行う.そのために,最尤法によるパーティション解析を行うソフトウェアを新たに開発する. (3)開発した解析用ソフトウェアとともに,解析に使った全ての配列データと解析結果の分子系統樹をインターネット上に公開し,今後も多くの研究者によって,配列データと分類群の拡充が行われるような環境を整えるための方策を研究する. (4)得られた成果を学術論文として公表するための分担と戦略を決め,論文を執筆する.それと同時に,この研究の今後の発展性を検討し,有望な見通しが立てば,次の段階のプロジェクトを立案する.
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Causes of Carryover |
本研究課題を執行するにあたり,中国大陸に固有に生息するショウジョウバエ複数種の解析を行なうため,海外研究協力者と研究打ち合わせを行う予定であったが,相手側研究者との日程調整がつかず,計画を翌年度に延期したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外研究協力者と研究打ち合わせを行うための,海外旅費として計上する.
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[Journal Article] Taxonomy of the Colocasiomyia gigantea species group (Diptera, Drosophilidae), with descriptions of four new species from Yunnan, China.2014
Author(s)
Li, N.-n., Toda, M. J., Fu, Z., Chen, J.-m., Li, S.-h. & Gao, J.-j.
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Journal Title
ZooKeys
Volume: 406
Pages: 41-64
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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