2013 Fiscal Year Annual Research Report
ウコギ科植物における金属集積機構の解明と放射性ストロンチウム除去技術への応用
Project/Area Number |
24380038
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
水野 隆文 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (50346003)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 英美子 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (20232845)
竹中 千里 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (40240808)
富岡 利恵 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (40456588)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ストロンチウム / 金属集積 / ウコギ科植物 / コシアブラ / タカノツメ / ヤナギ / 培養細胞 / 放射光解析 |
Research Abstract |
コシアブラ、タカノツメ及びヤナギの実験に供した木本植物を部位別に分け元素分析を行ったところ、いずれの植物でも、木部より樹皮にSrをはじめとする金属の濃度が高いことが判明した。枝の凍結切片を作製し、放射光を用いたμ-XRF元素イメージングを行ったところ、樹皮中にCaとSrを含む粒子状の物質が多数検出された。低真空型SEMにより、樹皮の異形細胞中に金平糖状の集晶が観察された。木本植物におけるSr蓄積には、樹皮中でバイオミネラリゼーションにより生成するSr含有結晶が寄与していることが考えられた。XANES法およびラマン分光分析法を試みたが、結晶状物質の化学形態の同定には至らなかった。タカノツメのCd、Zn蓄積と抗酸化物質蓄積との関係性を検討したところ、ラジカル消去物質量やSOD様物質量との関係性は見出されなかった。タカノツメに内生している菌について、Cd,Znが高濃度に存在する鉱山跡地で生育しているタカノツメから単離した菌と、土壌中の平均的なCd,Zn濃度の二次林に生育しているタカノツメから単離した菌とで、Cd,Znに対する耐性を比較したところ、鉱山跡地で生育したタカノツメから単離した菌の方がCd,Znに対する耐性が高いことが明らかとなった。コシアブラのマンガン集積つについては2,4-Dのみをホルモン剤として用いた培養細胞作成は不調に終わった。一方で金属集積が高くなる10-11月にかけて、長野、滋賀、奈良等7地点において各地10本のサンプルから葉のサンプルを回収した。年度末にかけて分解用機器を購入し、26年度に金属集積を行う準備を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終年度となる今年度は、本来3大学で進行している実験の統合を目指すところであるが、各チームにおいて進行状況にばらつきが有ることから、半年間を目処に各チームの個別課題の進行を行う。まず滋賀県立大学ではすでにヤナギのストロンチウム集積について放射光により詳細なデータが得られたことより、最終年度は最新型次世代シーケンサーによる発現解析に入る。これにより、木本植物のストロンチウムに重要な遺伝子についての重要な知見が得られるものと期待される。また名古屋大学ではタカノツメの培養細胞の作成に成功したことにより、これを用いたストロンチウムをはじめとするウコギ科植物の特異な金属集積についての解析を行い、同時に滋賀県大の放射光技術をタカノツメにも応用し、実際の樹木となっている植物体の場合におけるデータの獲得も目指す。名古屋大は竹中教授のチームによるフィールドでの金属集積を進め、ファイトレメディエーションや放射性同位元素を集積しないタイプの山菜を作り出すのに必要な知見の獲得を目指す。三重大学では、これまで単独での細胞培養誘導条件でうまくいかなかったことを踏まえ、2,4-Dのみならず各種濃度のNAAおよびサイトカイニンの6BA等のホルモンを新たに用いてカルス誘導を試み、最終的に遺伝子解析および再分化体を用いた金属集積について最終的な結論を出す予定である。コシアブラについては本科研研究とは別に、放射性同位元素取り込み試験が可能である筑波大に試料を提供することで、ストロンチウムおよびセシウムの放射性同位体の取り込みについて測定できることとなった(本予算とは別件となる)。本研究には野生のコシアブラだけでは測定が難しいことから、三重大学では培養細胞からの再分化体の作成を優先して行う。また昨年度日本各地で採取したコシアブラ葉および土壌のサンプルについても分析を進め、土壌-植物間の物質移動についても検証を行う。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる今年度は、本来3大学で進行している実験の統合を目指すところであるが、各チームにおいて進行状況にばらつきが有ることから、半年間を目処に各チームの個別課題の進行を行う。まず滋賀県立大学ではすでにヤナギのストロンチウム集積について放射光により詳細なデータが得られたことより、最終年度は最新型次世代シーケンサーによる発現解析に入る。これにより、木本植物のストロンチウムに重要な遺伝子についての重要な知見が得られるものと期待される。また名古屋大学ではタカノツメの培養細胞の作成に成功したことにより、これを用いたストロンチウムをはじめとするウコギ科植物の特異な金属集積についての解析を行い、同時に滋賀県大の放射光技術をタカノツメにも応用し、実際の樹木となっている植物体の場合におけるデータの獲得も目指す。名古屋大は竹中教授のチームによるフィールドでの金属集積を進め、ファイトレメディエーションや放射性道元素を集積しないタイプの山菜を作り出すのに必要な知見の獲得を目指す。三重大学では、これまで単独での細胞培養誘導条件でうまくいかなかったことを踏まえ、2,4-Dのみならず各首脳殿NAAおよびサイトカイニンの6BA等のホルモンを新たに用いてカルス誘導を試み、最終的に遺伝子解析および再分化体を用いた金属集積について最終的な結論を出す予定である。コシアブラについては本科研研究とは別に、放射性同位元素取り込み試験が可能である筑波大に試料を提供することで、ストロンチウムおよびセシウムの放射性同位体の取り込みについて測定できることとなった(本予算とは別件となる)。本研究には野生のコシアブラだけでは測定が難しいことから、三重大学では培養細胞からの再分化体の作成を優先して行う。また昨年度日本各地で採取したコシアブラ葉および土壌のサンプルについても分析を進め、土壌-植物間の物質移動についても検証を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子解析に用いる、植物の金属集積部位についての放射光測定試験が前年度までずれこんだため、遺伝子解析が次年度となったため。また他の植物(コシアブラ)についても、遺伝子解析用に用いるためのカルス作成が不調に終わり、遺伝子解析を最終年度にせざるを得なくなったため。 カワヤナギ(および可能な場合はコシアブラ・タカノツメ)のIon Proton 次世代シーケンサー溶RNAライブラリ作製、および遺伝子発現解析に関する器機使用料と解析にかかる人件費
|
Research Products
(10 results)