2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24380049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山田 隆 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (40230461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤江 誠 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 准教授 (20274110)
川崎 健 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教 (00510299)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 青枯病 / バクテリオファージ / ジャンボファージ / バイオコントロール |
Research Abstract |
病原菌に高い特異性を示す、安全かつ持続的な代替農薬・防除技術の開発が強く望まれている。その有力候補として、青枯病菌特異的ジャンボバクテリオファージ(RSL1)の利用に着目した。この特殊なファージについて(1)制菌時における宿主菌の生理的変化(運動性、多糖生産、病原性、増殖性等)、(2)制菌時に高発現する12個のファージ遺伝子の個々の発現特性、宿主への影響、(3)制菌時に宿主菌に検出されるプラスミド様因子(検出済)の由来と構造、宿主への影響、(4)宿主菌の一般ファージ耐性機構とファージの耐性解除機構等を実験計画に従って明らかにする。これにより、ジャンボファージ(未知な部分が多い)と宿主菌の相互作用に関する学術的新知見を得て、持続的な病原菌の制圧モデルとして特徴付ける事を目的とした。当初計画に従い、(1)制菌時における宿主菌のtwitching運動性の低下、病原性の低下を明らかにした。また、(2)制菌時に高発現する12個のファージ遺伝子のうちorf105, orf106, orf121, orf133, orf134, orf137, orf209を宿主菌内で高発現させ、前3者が増殖促進効果、後2者(特にorf137)が増殖抑制効果を示す事を見いだした。さらに、(3)制菌時に宿主菌に検出されるプラスミド様因子が溶原化RSSファージの誘導に由来する事を見いだした。RSS原型ファージは宿主菌病原遺伝子(phcA, phcB, hrpB,egl,pilTetc)の抑制制御を行うことが判明し、ファージによる青枯病原菌制圧の重要な機構の一環が明らかとなった。EZ-Tn5^<TM><KAN-2>Tnp Transposome^<TM> Kitによるトランスポゾン変異株のうち3種がRSL1耐性を示した。何れもLPS合成系の変異株であり,耐性と同時に病原性を失っていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
設定した4つの課題について計画に従っての実験を行い,一定の成果を得た。RSL1感染により溶原化ファージ(RSS)が誘導される事、RSL1耐性菌が病原性を失う事の発見の意義は大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)宿主菌の生理的変化のうちバイオフィルム形成能と宿主相互作用の変化をさらに定量化する。(2)特異的変動遺伝子の残り5個について特徴づけるとともに、増殖抑制効果の高いorf137,orf209についてその機能を解明する。(3)誘導RSSによる病原性遺伝子抑制機構を詳細に調べる。(4)ファージ耐性、耐性解除の動的機構をさらに詳細に調べる。ファージ処理青枯病菌と植物との相互作用を細胞学的に調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度には、青枯病菌における分子レベルでのデータが蓄積しその解明に精力を集中した。そのため植物を用いた病理学的研究分(植物栽培、組織化学、蛍光染色、電顕観察費分255万円が次年度繰り越しとなっている。25年度はこれを遂行するとともに、補助金270万円のうち、消耗品190万円(うち30万円ずつ分担者藤江と川崎に配分)、旅費20万円(植物病理学会、日本農芸化学会)、その他60万円(機器使用料、論文投稿料等)に使用する。また、基金として120万円消耗品に使用する。
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