2013 Fiscal Year Annual Research Report
アジア地域におけるRaffaelea属菌の分類学的検討と病原性に関する比較研究
Project/Area Number |
24380079
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
伊藤 進一郎 三重大学, 生物資源学研究科, 招へい教授 (90092139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 健二 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (30208954)
中島 千晴 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (20378318)
松田 陽介 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (30324552)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アジア / Raffaelea属菌 / 形態観察 / 接種試験 / 養菌性キクイムシ / ブナ科樹木 |
Research Abstract |
タイ北部において,Raffaelea属菌を随伴する養菌性キクイムシの探索とその分類属性を明らかにするため,ブナ林においてナガキクイムシ亜科甲虫を採取した.甲虫から菌類の分離を行い,得られた菌株は28SrDNA領域の塩基配列に基づくBLAST解析を行った.さらに,ナガキクイムシ亜科甲虫の外部形態の形態観察を行い,属の同定と形態類別を行った.ナガキクイムシ亜科19個体から分離された糸状菌がRaffaelea属菌と推定された.形態観察の結果,ナガキクイムシ亜科は5属16タイプに類別され,そのうちDiapus属1タイプ,Dinoplatypus属1タイプ,Platypus属2タイプからRaffaelea属菌と判断される糸状菌が分離された.さらに,Platypus属の1タイプにおいては,供試した全9個体の体表とそのうち3個体のマイカンギアからRaffaelea属菌が分離された.以上の結果から,Platypus属の1タイプにおいてRaffaelea属菌を随伴している可能性が示唆された. モンゴリナラに対するR. quercus-mongolicaeの病原性を評価することを目的とした.ソウル市に自生するモンゴリナラ成木の枝と実生にそれぞれ本菌の1点,多点接種を行った.1点接種では,接種8週間後に横断面に占める非通水域の割合と接種点から軸方向への材変色長を測定した.多点接種では,接種後5週間病徴観察を行い,その後通水状況を調べた.また,両接種とも本菌の再分離試験を行った.両接種とも,供試した50%以上の枝と実生から本菌が再分離された.枯死した枝や実生は観察されず,接種部付近でのみ通水阻害が確認された.本菌の接種枝における非通水域の割合と材変色長は,対照のものに比べ有意に大きかった.以上より,本菌はモンゴリナラに定着し,接種部付近で通水阻害を引き起こすことが可能であると示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに採集された,あるいは分離されたRaffaelea属菌の形態学的,分子生物学的な検討をすすめられている.
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Strategy for Future Research Activity |
計画に沿い概ねすすめられており,今後,得られた菌株の病原性の検証を進める予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子解析を期間内に終えることができなかった 今期に追加の遺伝子解析を実施する
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Research Products
(15 results)