2012 Fiscal Year Annual Research Report
軟体動物前鰓類におけるレチノイン酸受容体(RAR)の性状及び生理機能解析
Project/Area Number |
24380110
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
堀口 敏宏 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 室長 (30260186)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 康彦 鳥取大学, 農学部, 教授 (60069078)
森下 文浩 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20210164)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 軟体動物 / 前鰓類 / レチノイン酸受容体(RAR) / レチノイドX受容体(RXR) / インポセックス |
Research Abstract |
イボニシ腎臓及びペニスより抽出したRNAからRAR様配列(イボニシRAR)を単離した。この遺伝子のアミノ酸配列の比較より、今回得られた配列は脊椎動物のRARと相同性が比較的高いことが分かった。この配列を用い、ミドリザル腎臓由来の細胞に導入し、All-transレチノイン酸(ArRA)添加時のウエスタンブロットによるタンパク発現の確認と転写活性の測定を行った。イボニシRARタンパクの発現は確認できたが、転写活性の誘導は認められなかった。そこで導入細胞をヒト肝臓由来の細胞に変更し、イボニシRARとヒトRARα、β、γとを用い、二種類のレチノイン酸応答配列を用いた時の転写活性の測定を行った。 ヒトRARを用いた場合、転写活性の誘導が認められたが、イボニシRARを用いた場合では誘導が認められなかった。この転写活性の非誘導の原因を探るため、イボニシRAR及びヒトRARαのリガンド結合部位をGAL4DNA結合部位と融合させ、転写活性の測定を行った。ヒトRARαリガンド結合部位を用いたアッセイではArRA,9-cisレチノイン酸,13-cisレチノイン酸,Ail-transレチノール添加時に転写活性の誘導が認められたが、イボニシRARでは何れの物質添加でも誘導が認められなかった。次にイボニシRARのDNA結合部位をヒトRARαリガンド結合部位と融合させ、転写活性の測定を行ったところ、転写活性の誘導が認められた。さらに、イボニシRARとイボニシRXRとの相互作用を調べるため、TwoHybridAssay法を行った。その結果、RARはRXRが存在する場合に転写活性が誘導され、イボニシR,ARはRXRとの相互作用があると考えられたo以上により、今回得られたイボニシのRAR様配列は、ほ乳類で知られている生体内リガンドであるArRAによる転写活性誘導は生じないものの、レチノイン酸応答配列は認識する可能性があることや、RXRと相互作用があると考えられることより、未知のリガンドを標的とするオーファン型の受容体であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
それぞれの実験が的確に実施されている(手法のミスがないとみられる)こと、並びに作業仮説の検証が現在まで順調に進展していることによると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、研究計画に沿って本研究を推進する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費及び人件費・謝金が予定より軽減したため。翌年度は実験に係る物品費とともに人件費に充て、RXR転写活性の種間比較やエクジソン様受容体の性状決定等に関する研究を推進する。
|
Research Products
(5 results)
-
[Journal Article] Specific accumulation of organotin compounds in tissues of the rock shell, Thais clavigera.2012
Author(s)
Horiguchi, T., Lee, J.H., Park, J.C., Cho, H.S., Shiraishi, H., Morita, M.
-
Journal Title
Marine Environmental Research
Volume: 76
Pages: 56-62
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Vas deferens and penis development in the imposex-exhibiting female rock shell, Thais clavigera.2012
Author(s)
Horiguchi, T., Ohta, Y., Urushitani, H., Lee, J.H., Park, J.C., Cho, H.S., Shiraishi, H.
-
Journal Title
Marine Environmental Research
Volume: 76
Pages: 71-79
DOI
Peer Reviewed
-
-
-