2012 Fiscal Year Annual Research Report
創薬基盤確立に向けた効率的人工タンパク質化学合成法の開拓
Project/Area Number |
24390026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大高 章 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20201973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重永 章 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (10423394)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | タンパク質化学合成 / チオエステル / NCL / ペプチド合成 / 速度論的反応 / アシル転移 |
Research Abstract |
薬物標的をはじめ薬効発現に至る過程に関与する分子の多くはタンパク質であり、これらの機能の分子レベルでの理解は、薬物のシード探索から有効性評価に至るすべての段階に関係する重要研究課題である。これに向けた戦略は、小分子プローブをタンパク質機能探索に利用する方法論、そしてタンパク質分子自身を解析する方法論の2つに大別される。ケミカルバイオロジー研究の活発化に伴い、前者の研究に大きな進展がみられる。一方、後者については、機能解析に供すべきタンパク質分子の供給が一つの足枷となっており、機能情報発信能力を持つ人工タンパク質の効率的調製法の確立は創薬研究推進の上で喫緊の課題である。そこで本研究では創薬関連タンパク質機能解明と基盤となる、人工タンパク質効率的化学合成法の確立をその研究目的とした。本目的に従い、平成24年度は我々が開発してきたペプチドチオエステル等価体であるN-sulfanylethylanilide(SEAlid6)ペプチドの反応養成の高い合成法の確立とその化学的性質について詳細に検討を加え、主に次の3つの研究実績を得た。 (1)汎用性の高いSEAlideペプチドの合成法の確立に成功した。 (2)SEAlideペプチドの性質について詳細に検討を加え、アミド型のSEAlideであっても、リン酸塩が存在するとチオエステル型として機能し、NCL反応に関与できることを明らかにした。 (3)上記の知見に基づき、One-pot/sequential NCL法の開発に成功し、速度論的制御によるタンパク質合成法の新機軸を提案することができた。これを利用して162残基からなるタンパク質合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究期間中に開発した方法論により、162残基からなるタンパク質合成に成功した点は、当初の予想をはるかに上回る研究成果と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に基づき、タンパク質化学合成について汎用性の高い方法論の確立を目指す。さらに、平成24年度の研究で明らかになってきたリコンビナントタンパクのチオエステルへの変換について検討を加える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度への繰越額については、本研究課題の推進に有用と思われる当初予想していなかったリコンビナントタンパク質のチオエステルへの変換研究に充当する予定である。
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Research Products
(32 results)