2013 Fiscal Year Annual Research Report
創薬基盤確立に向けた効率的人工タンパク質化学合成法の開拓
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24390026
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大高 章 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20201973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重永 章 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (10423394)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | タンパク質 / Native Chemical Ligation / チオエステル / ペプチド合成 |
Research Abstract |
薬物ターゲットの大半はタンパク質である。そのため創薬基盤を確立するためには薬物の標的となるタンパク質分子の理解が不可欠であり、理解を助けるうえで薬物結合に応答して情報を発信できるタンパク質分子を自在に合成することは重要な研究課題である。そこで、創薬基盤確立を目指してタンパク質分子の化学合成法の開拓を行うこととした。タンパク質化学合成に汎用される方法論としてNative Chemical Ligation (NCL)法がある。この手法ではペプチドチオエステルの簡便な合成法の確立さらには複数のチオエステルフラグメントを段階的に効率的に縮合することが不可欠である。まず、簡便なチオエステル合成について、従来の研究の延長線上として、ペプチド化学合成の主流であるFmoc法で調製可能なペプチドチオエステル前駆体としてN-sulfanylethylanilide (SEAlide) peptideの開発を推進してきた。当該年度においてはSEAlide peptideの性質についてより詳細に検討しリン酸塩のような酸塩基触媒により、不活性なアミド型SEAlide peptideが活性なチオエステル型SEAlide peptideに変換されることを証明し、この性質を利用して、One-potでの連続的NCL反応を達成し、162残基からなる糖たんぱく質の完全化学合成を達成した。また、タンパク質化学合成に資する知見として、従来はNCL反応に利用不可能であると考えられていたプロリンチオエステルが巧みに反応条件を制御することでNCL法に利用可能であることを明らかにした。これらの成果は創薬基盤確立に向けたタンパク質分子の化学合成に資する研究成果としてきわめて重要な意義を持つものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
タンパク質を化学合成するという観点において、従来からの研究の過程において開発を続けてきた手法を利用、改良することで、すでに本研究期間中において162残基からなる糖たんぱく質の完全化学合成を達成した。この成果は明らかに計画以上の研究進展を示すものである。さらに、本研究成果以外に従来はNCL法に利用できないとされていたプロリンチオエステルが反応条件の制御により利用可能であることを明らかにするとともに、この成果を利用してOne-pot、連続的フラグメント縮合法を新たに開発した。また、SEAlide peptideの性質を検証する過程においてSEAlideよりもさらに有用性の高いチオエステル前駆体(SECmide)を見出し、現在この構造体の性質について検討を加えている。また、チオエステル調整に関し、従来は化学合成を基盤としていたが、発現タンパク質にも応用可能な手法の開発に至る基礎反応を見出し、現在最適化に努めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究でSEAlideの性質解明とこれを利用したOne-pot連続的フラグメント縮合の達成、SEAlideより優れた性質を示すSECmideユニットの開発、プロリンチオエステルの利用法の開拓を進めてきた。これらを統合することで、200残基程度のタンパク質ならばルーチンの完全化学合成できる手法を開発する。 また、発現タンパク質をチオエステルに変換する手法を見出しつつあるので、この方法論を確立することで化学合成と遺伝子工学法を融合したタンパク質半合成法の確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
既存の器具や試薬を使用することができ、消耗品費が抑制されたため。 翌年度分と合わせ、各種試薬や器具を購入するための費用に充てる計画である。
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Research Products
(7 results)