2012 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子多型を考慮したmicroRNA発現制御に基づく薬物代謝能個人差解明の新展開
Project/Area Number |
24390039
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中島 美紀 金沢大学, 薬学系, 准教授 (70266162)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | マイクロRNA / 遺伝子変異 / 個人差 / 転写後調節 / 薬物代謝酵素 / 薬物動態 |
Research Abstract |
テガフールやファドロゾールの代謝を触媒するCYP2A6と5-フルオロウラシル(5-FU)の標的酵素であるチミジル酸合成酵素(TYMS)について、3'-非翻訳領域(3'-UTR)にある遺伝子変異部位を認識して発現量の個人差を引き起こす可能性のあるmicroRNAについて検討した。 CYP2A6の3'-UTRにはCYP2A7の配列と一部(57bp)変換された変異型CYP2A6*1Bが存在し、日本人における遺伝子頻度は約30%である。この変異型をもつヒトは野性型と比べて代謝活性が高いことが知られている。変換部位に結合が予測されたmiR-22、miR-155、miR-328などがCYP2A6の発現制御に関わっているか検討したところ、その可能性は否定された。一方で、さらに下流領域にmiR-126*結合領域を見出し、miR-126*がCYP2A6の発現制御に関わっており、発現量個人差の原因となっていることを明らかにした。 TYMSの3'-UTRには6塩基挿入の遺伝子変異型が存在し、日本人における遺伝子頻度は約30%である。この遺伝子変異型をもつ患者では5-FUへの応答性が悪いことが知られている。野生型に結合するが、6塩基挿入型には結合しないmicroRNAとしてmiR-142-5pを見出した。ホモ挿入型のSW480細胞にmiR-142-5pを過剰発現させたところ、TYMS mRNAおよび蛋白質発現量に変化は認められなかったが、ホモ野生型のHeLa細胞では、TYMS mRNAおよび蛋白質発現量の有意な増加が認められた。この結果は予想に反したものであり、miR-142-5pがTYMSの発現を抑制する何らかの因子に作用することで間接的な影響を及ぼした可能性が考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会発表を行い、論文執筆も進行中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究成果は論文として発表し、さらに他の代謝酵素についても同様なスドラテジーで研究を進め、データを積み重ねていく。
|
Research Products
(4 results)