2012 Fiscal Year Annual Research Report
大動脈解離の分子メカニズム:細胞間相互作用による大動脈壁強度制御機構の解明
Project/Area Number |
24390334
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
青木 浩樹 久留米大学, 循環器病研究所, 教授 (60322244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 耕一 山口大学, 医学系研究科, 准教授(特命) (00322248)
吉田 恭子 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (00242967)
田中 啓之 久留米大学, 医学部, 教授 (70197466)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 循環器・高血圧 / 大動脈 / 細胞外マトリックス / 炎症 |
Research Abstract |
計画に従って、マウス大動脈解離の発症時期を特定した。さらに発症前後の大動脈組織を詳細に解析した結果、マウスでは肉眼的な大動脈解離に先立ち微小な解離を発症することを発見した。野生型では微小解離発症の後、細胞浸潤とともに細胞外マトリックスが一旦減少していたが、その後、コラーゲン線維を主体とする細胞外マトリックスの増加を認めた。 予想外なことに、マクロファージ特異的にIL-6シグナルを促進したマウス(mSOCS3-KO)では微小解離の発症率は野生型と同様だが、その後、野生型より高率に肉眼的解離に進展することを見いだした。即ち、マクロファージのIL-6シグナルは大動脈解離の発症より進展に重要であることが示唆された。解離前の大動脈マクロファージの分化状態をFACSで解析したところ、野生型と比較してmSOCS3-KOではM1フェノタイプを示すマクロファージの比率が高い殊を見いだした。さらに、解離に先立つ遺伝子発現プロファイリングにより、細胞周期関連遺伝子群および炎症関連遺伝子群の発現亢進と、平滑筋収縮タンパク及び細胞接着分子群の発現低下を認めた。 解離に先立ち抑制される遺伝子群には家族性大動脈解離の原因遺伝子が含まれており、解離の分子病態解明の見地から、特に平滑筋細胞の関与を強く示唆する重要な知見と考えられた。また、現在の実臨床では大動脈解離を発症前に察知することは不可能であり、現実的には発症後の解離進展を如何に抑制するかが重要な課題である。本研究の成果は、解離進展機構の解明につながると考えられ、さらに分子病態を追求中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
詳細な解析の結果、マウスでは肉眼的な大動脈解離に先立ち微小な解離を発症することを発見した。予想外なことに、マクロファージ特異的にIL-6シグナルを促進したマウスでは微小解離の発症率は野生型と同様だが、その後、野生型より高率に肉眼的解離に進展することを見いだした。マクロファージIL-6シグナルが解離進展に重要であるとの知見は、解離進展の抑制という実臨床の課題解決に直結する重要な発見である。
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Strategy for Future Research Activity |
H.24年度の発見に基づき、解離進展の分子機構解明を進める。培養細胞および組織に伸展刺激を加え、機械的ストレスの初期応答から解離のメカニズムを解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H.24年度は生体内での分子病態解明に注力したため、当初は次年度に予定していた生体内マクロファージ分化の解析を前倒しで実施した。その結果に基づきH.25年度以降に培養細胞実験を行なう計画としたため、当該必要経費を繰越とした。
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Research Products
(12 results)