2012 Fiscal Year Annual Research Report
休眠原始卵胞の人為的活性化技術を応用した新たな不妊治療法の開発
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24390376
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
河村 和弘 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (10344756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高江 正道 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (00621301)
吉岡 伸人 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (10468928)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 原始卵胞 / 生殖補助医療 |
Research Abstract |
早発閉経や閉経前後の不妊患者では、卵胞が発育せず自らの卵子を用いた妊娠は非常に困難である。申請者は最近、PTEN阻害剤とPI3K活性化剤を用いた休眠原始卵胞の人為的活性化に成功した。本研究は、本法の臨床応用により、提供卵子による治療以外に確実な方法がないこれらの患者の卵巣の卵子形成能を再生させ、自らの卵子で妊娠する新たな治療法を確立することが目的である。 本年度は申請者が開発したヒト休眠原始卵胞の活性化技術を更に改良して、より効率良く原始卵胞を活性化する方法を見出すため、A)卵巣凍結・解凍方法の改良、B)培養に用いる卵巣断片の至適サイズの決定、C)PTEN阻害剤およびPI3K活性化剤の至適濃度、培養時間の決定を行った。早発閉経患者の原始卵胞の分布を組織学的に測定し、ガラス化法での卵巣凍結の際に適切な卵巣断片の厚さを決定した。また、種々の大きさのヒト卵巣断片を培養し、培養後の細胞死の状態を比較して卵巣断片の至適サイズを決定した。ヒト卵巣断片を用いて、PTEN阻害剤およびPI3K活性化剤による培養前後で組織学的検索を行い、各発育段階の卵胞数を比較することで至適培養条件を見出した。 卵胞発育を促進するためにゴナドトロピン製剤が使用されているが、初期卵胞発育はゴナドトロピン非依存性であり、成長因子の関与が報告されているものの不明な点が多い。本年度は初期卵胞発育を促進する因子を網羅的に同定し、その発育制御機構を解明することを試みた。その結果、c-type natriuretic peptideとR-spondin2を新規初期卵胞発育促進因子として同定した。 自家移植後の卵巣断片の生着の良否は本治療法の成績を大きく左右すると考えられる。そのため、移植卵巣断片の生着率を高めるために本年度は卵巣自家移植の最適部位の同定を行い、卵管漿膜下が最適であることを見出した。.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に完了を予定していたヒト原始卵胞活性化法の至適化(卵巣凍結・解凍方法の改良、培養に用いる卵巣断片の至適サイズの決定、PTEN阻害剤およびPI3K活性化剤の至適濃度、培養時間の決定)は既に終了している。研究計画に従い、ヒト初期卵胞発育を促進する因子の同定と初期卵胞発育の制御機構の解明を試み、新たに二つの因子を同定し報告した。卵巣自家移植の最適部位の同定も完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は予定していた、1.卵巣自家移植の最適部位の同定と移植卵巣の生着を促進させる因子の同定、2.ヒト初期卵胞発育を促進する因子の同定と初期卵胞発育の制御機構の解明、3.移植胚の着床率を高めるための対策の確立、4.胚の割球を用いた診断的アッセイの確立の項目について研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究計画で施行予定であったDNAマイクロアレイは、検体採取の都合により次年度に行う予定である。それに伴う予算を次年度に繰り越して使用する。次年度の予算に関しては、研究計画通り執行を予定している。
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Research Products
(19 results)