2012 Fiscal Year Annual Research Report
補体制御因子を不活化し侵襲性感染症を誘発させる細菌分子の探索
Project/Area Number |
24390410
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川端 重忠 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (50273694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺尾 豊 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50397717)
中田 匡宣 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (90444497)
住友 倫子 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (50423421)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細菌 / 感染症 / 免疫 / 補体 / 補体制御因子 |
Research Abstract |
侵襲性レンサ球菌感染症の発症は急速に進行するが,抗菌治療後にヒト組織が受ける侵襲は直ちに停止しない.そのため,組織に与えられる傷害は除菌後も継続して起こり,回復困難になる場合が多い.この要因は細菌感染を引き金として起こる内因性傷害であると考えられる.内因性傷害として感染時の補体カスケードの破綻に着目し,A群レンサ球菌について解析を行った. まず,補体カスケード制御因子群の精製標品とA群レンサ球菌の培養上清を反応させたところ,C1 インヒビターの分解が認められた.分解活性を担う培養上清中の因子を検索した結果,システインプロテアーゼSpeBであることが明らかになった.C1インヒビター分解産物のN末端側アミノ酸配列をエドマン分解法により解読し,複数の分解部位を同定した. 次に,野生株SpeB変異株をヒト血清中で培養した結果,野生株と比較して,SpeB変異株の生存率は低下した.走査型電子顕微鏡を用いた菌体の観察から,SpeB変異株の異常な細胞形態が認められた.SpeBが補体因子へ作用するかを検討するため,組換えSpeBと補体因子群の精製標品を反応させたところ,SpeBによる補体因子群と補体膜侵襲複合体の分解が認められた.また,血清と共に培養した野生株とSpeB変異株への補体沈着をフローサイトメトリー解析により検討した.その結果,C9の沈着がSpeB変異株でより顕著に認められた. 以上の結果から,SpeBによるClインヒビターと補体群の分解が補体カスケードの破綻を誘導し,A群レンサ球菌の補体免疫回避および除菌後の内因性傷害を惹き起こすと推察された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で提唱した仮説を裏付けるような,補体カスケードの破綻を惹き起こすA群レンサ球菌のタンパク分解酵素を発見し,さらに同分子を同定・分離できたことから,おおむね当初の計画通りに進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
補体制御因子を分解する酵素が宿主細胞を傷害する過程について,可視化を試みる.さらに,マウス実験モデルにおいて,同定した細菌酵素に対する抗血清を用いた侵襲性病態の抑制実験を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物実験を実施予定であるため,実験動物費を申請する(ディスポーザブル飼育ケージ代も含む).実験機器は購入せず,動物実験で得られた試料を解析するための試薬およびプラスチック器具を購入する計画である.また,最終的な実験成果を発表するために,国内および国際学会への参加旅費を計上する.そして,全研究成果を英文の学術雑誌へ投稿するために,英語論文の英文校正費と校正者との通信連絡費,および印刷費を計上する.
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Research Products
(23 results)
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[Journal Article] Identification and characterization of a collagen-binding protein, Cbm, in Streptococcus mutans.2012
Author(s)
Nomura R, Nakano K, Naka S, Nemoto H, Masuda K, Lapirattanakul J、Alaluusua S, Matsumoto M, Kawabata S, and Ooshima T.
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Journal Title
Molecular Oral Microbiology
Volume: 27
Pages: 308-323
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Group A streptococcal cycteine proteases, SpeB and Sib35, cleave epithelial junctions.2013
Author(s)
住友倫子,東野美晴,小南明里,中田匡宣,寺尾豊,川端重忠,
Organizer
第86回日本細菌学会総会
Place of Presentation
幕張メッセ,千葉市,千葉県
Year and Date
20130318-20130320
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[Presentation] 8-Nitro-cGMP exerts anti-bacterial effect through inactivation of bacterial GAPDH2013
Author(s)
Minkyung Jung, 小野勝彦,岡本竜哉,井田知章,藤井重元,居原秀,澤智裕,川端重忠,熊谷嘉人,赤池孝章.
Organizer
第86回日本細菌学会総会
Place of Presentation
幕張メッセ,千葉市,千葉県
Year and Date
20130318-20130320
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