2012 Fiscal Year Annual Research Report
実験病理学的難治性根尖性歯周炎モデルの開発とその化学的制御法の検討
Project/Area Number |
24390424
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野杁 由一郎 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (50218286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恵比須 繁之 大阪大学, 歯学研究科, 理事・副学長 (50116000)
阿座上 弘行 山口大学, 農学部, 准教授 (40263850)
朝日 陽子 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50456943)
前薗 葉月 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (00613390)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオフィルム / 難治性根尖性歯周炎 / 根尖孔外 / 抗バイオフィルム薬 / 高病原化細 / マイクロCT / ラット / Eikenella corrodens |
Research Abstract |
研究代表者らは、根尖性歯周炎の難治化には根尖孔外バイオフィルムが密接に関与することを報告したが、本研究では未解明であるその病態とバイオフィルムの進展状況の関係を開発する病態モデル上で解明し、さらに得られるモデル上で、その難治性疾患の化学的制御法の有用性を検討することを目的とした。 本年度は、まず病態モデルの作製を行った。 本研究は、大阪大学大学院歯学研究科動物実験委員会の承認を得て実施した(承認番号:動歯22-003-1)。 まず、難治性根尖性歯周炎モデルの作成に着手した。雄性ウイスター系ラットの、下顎第1臼歯を露髄し4週間後に根尖孔外を破壊してガッタパーチャポイントを根尖孔外まで挿入し2週間放置することで、根尖孔外にバイオフィルムを形成した。その成果の詳細は第137回日本歯科保存学会秋季学術大会において発表した。次に、計70匹のラットを用いて、本モデルにおいて形成される根尖孔外バイオフィルムの経時的な定量の他、根尖孔外バイオフィルムの存在下における根尖性病巣の進展をマイクロCTにて露髄20週後まで解析した。この結果、根尖孔外のバイオフィルム細菌の形成量は露髄6週後から経時的に増加傾向を示し、根尖孔外バイオフィルムの存在が根尖病巣の増大に関与することをin vivoで初めて示した。この結果は平成25年の第9回世界歯内療法会議において発表する予定である。 25年度以降は本モデルを用いた化学的制御法の開発研究に移行する予定であり、本研究は化学療法による難治性根尖性歯周炎の制御の礎となると推察される。 一方、辺縁性および根尖性歯周炎に関与するバイオフィルムの構成細菌の1種であるEikenella corrodensの臨床分離株を用いて高病原化が普遍的な現象であるかを検討した。その結果、以前は23834株にプラスミド由来のリコンビナーゼを導入すると高病原化すると報告していましたが、臨床分離株のうち数株でも同様の現象が見られたこと、すべての株で23834株と同じ変化だったことから、高病原化がEikenellaで普遍的に発生ことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は、疾病により3カ月程度休暇をとったが、研究協力者(大学院生)のサポートもあり、研究は概ね順調に遂行された。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、予定した難治性根尖性歯周炎モデルを作製することに成功したので、来年度は予定通りそれを基に化学的制御法の開発研究に移行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残金は287円であり、来年度の早期に来年度の計画に則って研究計画を遂行する際に使用する予定である。
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