2013 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄間葉系幹細胞からセメント芽細胞への分化誘導と象牙質面へのセメント質形成誘導
Project/Area Number |
24390467
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
栗原 英見 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 教授 (40161765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 功一 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 教授 (50283875)
水野 智仁 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (60325181)
内田 雄士 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (40363080)
岩田 倫幸 広島大学, 大学病院, 助教 (30418793)
應原 一久 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (80550425)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / セメント芽細胞 / 歯周靭帯細胞 / 歯周組織再生 / マイクロRNA |
Research Abstract |
平成25年度における研究では、効果的な歯周組織再生を最終的な目的として、平成24年度において得られた結果に対してさらなる検討を加えることを前提とし、セメント芽細胞分化誘導に関与する遺伝子を同定するという観点から研究を推進した。 平成25年度に行なった研究の具体的な内容として、ヒト骨髄間葉系幹細胞(MSC)に対して、高いセメント芽細胞誘導能を有するBDNFおよびアメロジェニンをセメント芽細胞への分化誘導因子として作用させた状態でmicro RNA発現の網羅的解析を行なった。更に、MSC分化関連遺伝子発現の検討を行なった。得られた結果として、 1.平成24年度に得られた結果に対して更なる追加実験を行ない、ヒトセメント芽細胞株(HCEM-T)に特異的に発現しているMSC分化関連遺伝子を7種類およびmicro RNAを4種類に絞り込んだ。 2.micro RNAの網羅的解析において、BDNFおよびアメロジェニンによって発現上昇がみられたmicro RNAは6種類のmicro RNAが確認された。 3.MSC分化関連遺伝子のうちHCEM-Tに特異的と考えられた7種類の遺伝子のうち、未分化マーカー転写因子の1つであるETV1に着目し、BDNFおよびアメロジェニン刺激による発現変化を確認したところ、アメロジェニンを120時間作用させることによりHCEM-Tと同じ傾向を示した。 以上の結果により、MSCのセメント芽細胞分化誘導時において特徴的な発現を示すmRNAおよびmicro RNAが同定された。この結果により、セメント芽細胞への分化に対して重要な役割を果たす可能性のある遺伝子が明らかになり、これらの発現調整によるMSCからセメント芽細胞への分化メカニズムの解明が可能となり、最終的には効果的な歯周組織再生につながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度における本研究では、平成24年度において得られたセメント芽細胞に特異的な分化関連遺伝子およびmicro RNAに対してさらなる検討を加えることを前提とし、セメント芽細胞分化誘導に関与する遺伝子を同定するという観点から研究を推進した。 平成25年度に行なった研究の具体的な内容として、ヒト骨髄間葉系幹細胞(MSC)に対して、高いセメント芽細胞誘導能を有するBDNFおよび臨床的に歯周組織再生に広く用いられているエムドゲインゲル® の主成分であるアメロジェニンをセメント芽細胞への分化誘導因子として作用させることによるセメント芽細胞への分化誘導を行なった状態で、microRNA発現の網羅的解析を行なった。更に、MSC分化関連遺伝子発現の検討を行なった。具体的には、 1.平成24年度に得られた結果に対して、更なる追加実験を行ない、ヒトセメント芽細胞株(HCEM-T)に特異的に発現しているMSC分化関連遺伝子を7種類およびmicro RNAを4種類(増加2種類および減少2種類)に絞り込んだ。 2.マイクロRNAの網羅的解析において、BDNFおよびアメロジェニンによって発現上昇がみられたmicro RNAは6種類のmicro RNA(増加2種類および減少4種類)が確認された。 3.未分化マーカー転写因子および関連遺伝子のうちHCEM-Tに特異的と考えられた7種類のMSC分化関連遺伝子のうち、未分化マーカー転写因子の1つであるETV1に着目し、BDNFおよびアメロジェニン刺激による発現変化を確認したところ、アメロジェニンを120時間作用させることによりHCEM-Tと同じ傾向を示した。 という結果が得られた。これらは、今後に対し重要な結果ではあるが、これらは平成25年度研究実施計画の半分程度しか満たしていないことから判断すると、現在までの達成度はやや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度までに得られた網羅的解析の結果に対して、平成25年度での研究結果を総合的に検討し、候補遺伝子を8種類のmicroRNAおよびMSC未分化関連転写因子の1つであるETV1を含む7種類のMSC分化関連遺伝子を候補遺伝子として絞り込み、以下の研究を推進する予定である。 A.遺伝子導入によるセメント芽細胞分化誘導:候補遺伝子の過剰発現または抑制を行ない、セメント芽細胞への分化を検討する。また、HGFからセメント芽細胞への形質転換の候補遺伝子として考えられる遺伝子の導入を試みる。microRNAの強制発現および機能抑制は合成microRNA、mRNAの強制発現は強制発現用ウイルスベクター、発現抑制はsiRNAを細胞に導入することによりおこなう。セメント芽細胞への分化に関しては、セメント芽細胞での発現が特異的遺伝子の発現を分析する。 B. セメント芽細胞分化誘導刺激における分化誘導および分化誘導因子の同定:MSCを用いて、BDNFおよびアメロジェニンに加えて、歯周組織再生療法で用いられているPDGF・FGF-2・BMP-2により刺激をし、セメント芽細胞への分化を検討する。また、MSCを歯由来の象牙質ブロック上で培養することにより、セメント芽細胞への分化への象牙質面の影響を、EDTAによる象牙質表面の脱灰の効果と併せて検討する。 C. セメント質添加形成実験:上記の実験で特定したセメント芽細胞分化誘導因子を作用もしくは遺伝子導入したMSCを用いて象牙質表面へのセメント質添加形成を誘導する。セメント質の形成および分化に関しては、OPN、Type I collagen、BSPなどの硬組織関連遺伝子、CEMP1,CAP, F-spondinの遺伝子発現およびセメント質形成添加を生化学的および組織学的に解析する。
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