2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24401045
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
川田 順造 神奈川大学, 日本常民文化研究所, 客員研究員 (50107835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 裕之 国士舘大学, 法学部, 教授 (20276447)
鶴田 格 近畿大学, 農学部, 准教授 (60340767)
川瀬 慈 国立民族学博物館, 文化資源研究センター, 助教 (30633854)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 音文化 / アフリカ / 無形文化遺産 / 現地社会 / ユネスコ |
Research Abstract |
平成24年度は、3年度にわたる研究計画の初年度に当たり、研究代表者、研究分担者、研究協力者とも、現地調査による資料収集を行なった。別紙個別報告書の通り、研究代表者川田(ブルキナファソで、旧モシ王国太鼓言葉の現状)、研究分担者鈴木(コートジボワールとギニアで、語り部出身の音楽家とワールド・ミュージックの関わり)、鶴田(タンザニアで、伝統芸能の雨乞いにおける役割)、川瀬(エチオピアで、歌唱集団ラリベロッチの活動の現状)、研究協力者松平(ジンバブエで、薄板鳴音具ラメラフォン「ンビラ」を伴う愚依儀礼の社会的機能)と、各自がこれまでも行なって来た現地研究を、現代社会における役割という全体の研究課題の観点から、さらに深化させることができた。川田が研究対象としている、演奏の習得に幼時からの長期間の訓練を必要とし、同時にその基盤をなす伝統的王制が若い世代に関心を持たれなくなっている、旧モシ王国太鼓言葉のように、何らかの人為的保護策を講じなければ消滅の危機に瀕している無形文化遺産もある。だが一方で、松平が優れた参与調査を行っている、ショナ族の愚依儀礼とンビラの演奏のように、現金収入ではなく奏者の祖霊への強い信仰心に支えられて現に社会的機能をもっている慣行は、もしそれが無形文化遺産に指定されて、国家レベルで称揚され経済的な保護も受けた場合、かえってその音文化自体が損なわれる可能性がある例も存在する。他の研究分担者が調査している対象も、現に十分な社会的機能をもっていると考えられる。そしてユネスコの無形文化遺産課が登録の条件としているのも、現代の社会において機能をもつということなので、ユネスコのような国際機関による認定自体が孕んでいる微妙な問題が、われわれの現地調査から逆に提起されているとも言える。次年度の現地調査と報告書作成を通じて、この問題を追求してゆきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者、各研究分担者、研究協力者相互の十分な合意と、各自が長年馴染んで来た調査対象社会への十分な参入の結果、所期の研究目的が達せられているため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでも良好だった研究代表者、研究分担者、研究協力者の連携を、さらに緊密にして、2年度目の再度の現地調査に臨む。そして3年度目の数回の総括討議を活発に行ない、日本語および欧文報告書"Cultures sonoresd'Afrique"VIの完成を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は研究費を効率的に使用したため若干の残額が発生した。その残額を含めた今年度の研究費は、2年度目の再度の現地調査費および調査に必要な物品購入(音声分析ソフト等)に充てる計画である
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Research Products
(19 results)