2015 Fiscal Year Annual Research Report
伊達政宗の遣欧使節の末裔といわれるスペイン「ハポン」姓の人々のゲノムワイド解析
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24405017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 敏充 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50260592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 成也 国立遺伝学研究所, 集団遺伝学系, 教授 (30192587)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ハポン姓 / 日本人 / スペイン / ゲノムワイド / SNP解析 / Yハプロタイプ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、日本人に特化した約68万個のSNP解析である「ジャポニカ・アレイ」を用いた受託解析へのゲノムワイドなSNP解析の変更が4月に承認された。そこで、東芝ヘルスケア社に、ハポン姓の人々のDNA試料の解析を委託したところ、10サンプル以上に解析に適するクオリティがないものが判明したので、それらのDNA試料の再抽出を依頼した。変更のため必要となった、スペインのアンダルシア地方の人々の対照DNA試料50サンプル、及びハポン姓の人々の再抽出サンプルを、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大学ゲノム解析センターに5月に訪問し、入手した。最終的に6月にハポンDNA試料96サンプルを委託し、7月に解析データを入手した。それらのデータは、共同研究者である斉藤研究室で、データベースから入手したスペイン人などのSNPデータ(共通のSNPのみのデータ)と共に主成分分析などの解析が行われた。その間に、スペインの対照DNA試料を定量したが、量的に不足し、さらにクオリティも低かったので、再度入手を依頼し、8月末から開催された国際法医遺伝学会で受領することを約束した。しかし、現存試料は、それ以外はなく、残りのさらに質のよくなかった5サンプルのハポン姓サンプルのみを受領した。その後、2月末から解析センターを訪問し、新たに質のよい50サンプルを入手した。 その間に、この解析アレイを開発した東北大学メディカル・バンクのデータバンク(ToMMo)に保存されているデータの活用についても検討したところ、了解を得た。そこで、東北大学のゲノム解析チームとの共同研究について、名古屋大学医学部倫理委員会に変更申請・承認後、11月に共同研究契約申請を行い、2月に契約が承認・締結された。 従って、SNP解析変更、及びDNA試料の入手が困難を極めたので、本研究遂行のため、基金分を残し、1年期間延長の申請をし、承認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来ならば、今年度で終了しているはずであったが、1年期間延長しなければならなかった1番の原因は、スペインのアンダルシア地方の解析に適切なクオリティのDNA試料の入手である。もともとの計画では、アフィメトリクス社のGenome-Wide Human SNP Array 6.0による約90万以上のゲノムワイドなSNP解析から日本人に特化した約68万個のSNP解析である「ジャポニカ・アレイ」を用いた受託解析への変更申請以前に尋ねた段階で、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大学ゲノム解析センターの共同研究者が、スペインのアンダルシア地方のDNA試料を保有しており、訪問して簡単に入手できると考えていた。そして、その試料を約束どおり、入手できたのではあるが、いざ受託解析に依頼しようとした段階で、量が解析するためには、全く不足しており、クオリティもよくないことが判明した。そこで、共同研究者に事情を説明し、再度依頼したところ、スペインのDNAバンクから新たに申請・入手しなければならないとの説明を受けた。そのような手続きを踏んで、入手可能になったのが今年度の2月末であったので、その解析のための経費などに使用するために、基金の使用を1年間期間延長しなければならなかった。 その間も、何もしないで、手をこまねいてばかりいたわけではなく、1年以内に精度の高い結果を得られるように、この解析アレイを開発した東北大学メディカル・バンクのデータバンク(ToMMo)に保存されているデータを活用できるように、東北大学のゲノム解析チームとの共同研究することを考え、名古屋大学医学部倫理委員会に変更申請・承認後、11月に共同研究契約申請を行い、2月に契約が承認・締結された。従って、1年間遅れたように考えられるかもしれないが、実際には、時間的に遅れはしたものの、質的には向上したと考えられるので、一概にやや遅れているとは言い切れないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、残りのSNP解析用試料として東北大学の共同研究者の協力の元、仙台地方に先住性の高い日本人から血液を採取する必要がある。当初の予定では、伊達藩志会の協力担当者を通じて、50名から採取する予定であったが、東北大学メディカル・バンクのデータバンク(ToMMo)に保存されているデータの活用ができるようになり、また、残りの経費から考えると、「ジャポニカ・アレイ」に委託するサンプル数は、72(24サンプルが1単位で3単位分)サンプルの解析が限度である。従って、約15人の提供者が確保できれば、よいことになる。この程度のサンプルの採取は、容易と考えられるので、5月中にこの採取を完了する。その後、スペインのアンダルシア地方の人々の対照DNA試料50サンプル、ハポン姓の残りの人々のDNAサンプル、仙台地方に先住性の高い日本人の血液から抽出した対照DNA試料約15サンプル、計72サンプルを東芝ヘルスケア社に、「ジャポニカ・アレイ」を用いたゲノムワイドなSNP解析を委託する。 これら72サンプルと併せて、既に「ジャポニカ・アレイ」解析済みのハポン姓の人々の96サンプル、計168サンプルのデータを共同研究者である斉藤研究室で、主成分分析やハプロタイプ解析などの解析を行い、これらハポン姓の人々の中に、日本人の要素あるいは日本人特有のハプロタイプを持った人がいないかどうか調べる。 また、それと共に、これらのデータを、この解析アレイを開発した東北大学メディカル・バンクのデータバンク(ToMMo)に保存されているデータを活用して、新たに共同研究契約を締結した東北大学のゲノム解析チームで、同様に、これらハポン姓の人々の中に、日本人の要素あるいは日本人特有のハプロタイプを持った人がいないかどうか、より精度を高いハプロタイプ解析を行う。 最終的に全てのデータを併せて論文としてまとめて、報告すると共にスペインのコリア・デル・リオを訪問して報告会を開く。
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Causes of Carryover |
ゲノムワイドのSNP解析に予定していた、既収集のアンダルシア地方の対照DNA試料が、クオリティが悪くジャポニカ・アレイ解析に適さなかったので、新たに収集したサンプルを入手し、解析する必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ほとんど全てが、残りのハポン姓の人のDNA試料、アンダルシア地方の対照試料、仙台地方の対照試料、計72サンプルをジャポニカ・アレイ解析に委託する費用で、残りはハポン姓の人への報告するため、及び仙台での対照試料を採取するための費用である。
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Research Products
(7 results)