2013 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯地域特異的神経変性疾患の現地調査と病因に基づく新規モデル動物作製
Project/Area Number |
24406004
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
古武 弥一郎 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 准教授 (20335649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 茂 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 教授 (60160503)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 神経変性疾患 / 熱帯地域 / パーキンソン病 / P糖タンパク質 |
Research Abstract |
熱帯地域特異的に発生するパーキンソン病関連疾患は、環境因子(当該地域において日常的に摂取される果実に含まれる神経毒性物質)と遺伝因子の両者が発症に関与している可能性が考えられる。遺伝因子としては、例えば、薬物の能動輸送活性や細胞毒性物質の排出機能を持つ膜タンパク質であるP糖タンパク質 (P-gp) の機能不全などが想定される。そこでまず現地において、熱帯植物の分布、現地住民の熱帯植物摂取の食習慣、疾患と食習慣の因果関係を研究協力者と調査する。調査により採集した植物サンプルから、P-gpの基質となる神経毒性物質の単離同定を行い、当該物質をP-gp欠損マウスに投与することにより病態モデルを作製する。本モデルの妥当性を評価し、我々が既に合成し保有しているパーキンソン病治療薬候補物質群の評価、および既存のパーキンソン病治療薬を再評価することにより、効率的に地域特異的神経変性疾患の治療薬開発を行うことを本研究の目的とする。 今年度は、バンレイシ科植物トゲバンレイシから同定された化合物およびその誘導体が、P糖タンパク質の基質となるか否かについて検討を行った。P-gpの薬物依存性ATPase活性を利用したP-gp活性測定キットを用いて、P-gpの基質となるか否か検討を行ったところ、一部の化合物がP-gpの基質となることが示唆された。一方、パーキンソン病発症モデル化合物であるMPP+を細胞に低濃度曝露したところ、オートファジーを阻害することが明らかとなり、細胞内輸送の異常についても原竿検討中である。このように、低濃度MPP+を曝露した細胞は、熱帯地域特異的パーキンソン病関連疾患のモデル細胞となり得る可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデル作製、調査共にやや進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、P-gpの基質として見出された一部の物質をP-gp欠損マウスに投与し、低容量でパーキンソン病モデル動物ができるか否かを調べる。一方で、現地の調査研究も並行して行い、研究室での実験研究と調査研究の両者を相互にフィードバックさせて研究をまとめる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進行がやや遅れているため。 もともと平成25年度に実施する予定であった研究計画も併せて行う。 この際の消耗品費、旅費として使用する予定である。
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