2012 Fiscal Year Annual Research Report
細菌学的・疫学的手法を用いたアフリカ・モロッコ王国における侵襲性歯周炎の病因解析
Project/Area Number |
24406035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
安細 敏弘 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (80244789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 明弘 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (20364151)
宮崎 秀夫 新潟大学, 歯学部, 教授 (00157629)
邵 仁浩 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (10285463)
粟野 秀慈 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (20301442)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歯周病 / A.a菌 / 海外学術調査 |
Research Abstract |
これまで行ってきた口腔細菌の定量検出の技術を用いて、qPCR(リアルタイムPCR)法を改変した方法によりA. actinomycetemcomitans JP2株の定量検出系を開発した。侵襲性歯周炎の病原細菌として注目されているA. actinomycetemcomitans JP2株のqPCR法による定量検出は、同細菌の遺伝学的特性ならびに技術上非常に困難で、これまで開発できなかった経緯があるが、今回われわれの研究グループで同細菌の定量検出系を世界に先駆けて開発することに成功した。また、A. actinomycetemcomitansの非JP2株に特異的な定量検出系も開発し、これらの定量検出系の開発によりA. actinomycetemcomitansのJP2株と非JP2株を区別して定量検出することが可能になった。これらの検出系を用いて、実際のモロッコの侵襲性歯周炎患者より採取した歯肉縁下プラークを用いて解析したところ、臨床サンプルでも問題なく使用可能であることが明らかになった。そこで、これらの検出系およびモロッコDental Faculty, Mohammed V Souissi Universityを受診した、侵襲性歯周炎の患者11名(年齢平均±標準偏差:26.6±4.1、16-31歳)より採取した歯肉縁下プラークを用いて、それらの菌数を解析し、クリニカルアタッチメントレベル(CAL)との関連について解析した。歯肉縁下プラーク88サンプルを解析したところ、46サンプル(52.3%)がJP2陽性、中でも9サンプル(10.2%)がJP2株と非JP2株の両方が陽性であった。これらのサンプルについて、CAL≦6mm(n=31)とCAL≧7mm(n=57)の群に分けてJP2株および非JP2株の菌数について解析したところ、CAL≧7mmの群のJP2株菌数が有意に多いことが明らかになった(P<0.01)。本定量系で作製したA. actinomycetemcomitans JP2株と非JP2株特異プライマーはJP2株と非JP2株を選択的に増幅し、qPCR法を用いることによりそれぞれの菌株を特異的に定量することが可能になった。これらの検出系はA. actinomycetemcomitans JP2株による侵襲性歯周炎の診断に使用可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床サンプルの採取が順調に行われており、ほぼ予定通りに解析が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに多くの対象者から臨床サンプルを採取し、解析を進めること。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度中に研究打ち合わせのためモロッコに渡航する予定であったが、先方の都合により次年度に変更になったため。次年度は現地の大学と共同で疫学調査を予定しており、当該助成金とあわせた形で研究費を使用する予定である。
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