2013 Fiscal Year Research-status Report
リアルタイム3次元動画像再生用マルチGPUクラスタ電子ホログラフィシステムの開発
Project/Area Number |
24500071
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
高田 直樹 高知大学, 教育研究部自然科学系, 准教授 (50290713)
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Keywords | 電子ホログラフィ / 高性能計算 / Graphics Processing Unit / GPGPU / 計算機システム / 分散並列計算 / 計算機合成ホログラム / リアルタイム処理 |
Research Abstract |
コンピュータで計算されたホログラム(CGH)による3次元動画像再生技術(電子ホログラフィ)は「究極の立体テレビ」になるものと期待されている.しかし,計算量が膨大でありリアルタイム処理が困難なため,未だ実用化に至っていない. 本研究では,コストと簡便性を考慮し,マルチGPUクラスタと光学系装置を一体化したシステムを開発し,約1万点の物体点から構成された3次元物体のリアルタイム3次元動画像再生を実現することを目的とする. 昨年度に再構築した(KeplerアーキテクチャのGeforce GTX 680へ変更)GPUクラスタ用にCGH計算を並列化したプログラムを開発した.開発したプログラムでは,GPUクラスタに搭載された複数枚のGPUのうち,1枚のGPUだけLCDへ接続しCGHの描画処理のみを行う.それ以外のGPUでは各フレームのCGH計算を行うという新しいアルゴリズムを考案して実装した. 当初は,ネットワークに一般的なGiga bit Ethernetを使用する予定であったが,本アルゴリズムでは通信量が多くなるためInfiniband (QDR)を用いた.これにより,GPUクラスタにおいて1ノードに搭載できるGPUは3枚となった.現在,CGH計算に6枚を使用し,LCDへCGHを描画するGPUとして1枚を使用する.合計7枚のGPUを搭載したGPUクラスタを用いて計算速度を評価した.その結果,1枚のGPUでCGH計算および描画を行う場合に比べ,5倍以上の計算高速化を実現した.4枚のGPUを搭載した1台のマルチGPU環境のPCで計算を行う場合よりも計算高速化を実現することができた.本手法により,約1万点からなる3次元物体において,1フレームあたり22.3msで計算することに成功した.これはリアルタイム再生が可能であることを意味する.つまり,本研究の目的を達成することができたこととなる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度において,本研究の目的である約1万点からなる3次元物体のCGH計算を含むリアルタイム動画像再生を実現することができた.当初計画以上に計算高速化することができ,約2万点から構成された3次元物体のCGH計算もリアルタイム再生ができるほどになっている. さらに、カラー化の実現を目指し,平成24年度より時分割方式を用いたリアルタイムカラー電子ホログラフィの研究も同時に行った.その結果,赤(R),緑(G),青(B)色の各色のCGHを1枚のGPUを用いてCGH計算および描画をリアルタイムで行うことに成功した.また,時分割方式を用いた場合,各色のCGH計算を16ms以内で行わねばならないことが明らかとなった.カラーのリアルタイム電子ホログラフィを実現するためには,本研究で考案したマルチGPUクラスタ用CGH計算アルゴリズムが有効である可能性が高くなった. また,単色のCGH計算と描画処理を1枚のGPUで行いCGHを時分割表示することにより,残像効果を用いて数万点の物体点数で構成された3次元物体のリアルタイム再生を実現できる可能性があることがわかった. 以上のように,研究計画で当初目的としていた計算性能を既に上回っていること.そして,カラー化および1万点以上の3次元物体のリアルタイム3次元動画再生に関する新しい研究にも着手している.よって,当初計画以上に上回って進んでいると言うことができる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度において,本研究の目的である約1万点からなる3次元物体のCGH計算を含むリアルタイム動画像再生に成功しており,当初計画以上に進展することができた.しかし,通信量の低減および通信時間の隠蔽化を行うことができる可能性がある.引き続き性能向上を目指す.また,単色の時分割法を用いて1万点以上の物体点からなるCGH計算を含むリアルタイム動画像再生を試みる. 時分割法によるカラーのリアルタイム3次元動画像再生では,光源の色とそれに対応したCGHの計算および描画処理と同期しなければならない.そのためには,各色のCGH計算を16ms以内に終える必要がある.リアルタイムで計算と動画像再生を行うためには単色の場合以上に計算性能が必要である.引き続き,平成26年度もマルチGPUクラスタを用いた時分割法によるカラーのリアルタイム3次元動画像再生のプログラム開発を行う. 上記の研究はいずれも振幅ホログラムであるが,位相ホログラムの光学系装置にもマルチGPUクラスタシステムを使用することができる.位相ホログラムの光学系装置でも使用できるようにプログラムの改良も行う.動画像の撮影を行う際,位置などを調整するため,プログラムのパラメータを変更する必要がある.操作性においても優れたプログラムになるよう改善する. また,本研究で使用しているCGH計算以外の手法についても検討する.
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Research Products
(10 results)