2012 Fiscal Year Research-status Report
信用度計算の頑健性に着目したP2Pシステムの攻撃耐性の研究
Project/Area Number |
24500082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤田 聡 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40228995)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分散システム / 評判システム / 信用度計算 |
Research Abstract |
本年度は、P2P上の信用度計算問題がどのような計算複雑度を持っているのかを、非構造化P2Pと構造化P2Pの二 つのタイプに分けて、数理的に解析した。まず非構造化P2Pに関しては、申請者らが提案した、確度の低い観測値に対するEigenTrustアルゴリズムの分散計算法をベースにした計算量解析を行った。解析の結果、提案手法はオリジナルのEigenTrustと比べて十分低い計算複雑度を持っていることがあきらかとなった。一方、構造化P2Pに関しては、効率的な信用度計算を可能とするP2Pオーバーレイの設計を行った。ネットワークトポロジーの具体的な候補としては、申請者らが提案 したContracted Star Graphに基づくP2Pオーバーレイを含むいくつかのトポロジーを検討し、その結果、空間のドロネー分割に基づくネットワークトポロジーが有効であるとの感触を得た。このトポロジーは、ドロネー分割に基づく従来のトポロジー(ドロネーオーバーレイなどと呼ばれている)とは異なり、リンクの更新を局所的に行うことができる。 上記の成果に加えて本年度は、1)提案する信用度計算方式と電子すかし技術とを組合わせた共謀者検出プロトコルの提案と評価、2)計算された信用度に基づいたアドミッションコントロールを分散的に行うためのテストベッドの開発、3)信用度計算を分散的に実現するための効率的な情報伝播手法の検討、などを順次行っている。これらの項目に関しては、次年度以降、具体的な成果につなげていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的な解析に関してはほぼ予想通りの結果が得られている。当初期待していた、新たな理論的な枠組みの提示にまでは繋がっていないという点で、さらなる考察が可能であると考えている。 それ以外の、次年度以降につながる足がかりをきちんとつくるという意味では、十分な成果が得られたのではないかと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
提案手法の評価を行うためのシステム作りと並行して、解析の精度を高めるなど、研究としての完成度を高めていく。また本課題の成果をいちはやく外部に紹介するため、注目度の高い国際会議での発表が行えるようにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際会議への参加費用とシステムづくりに関わってくれる学生への謝金が主な支出である。本研究課題の後半では大規模なシミュレーションを予定していることから、そのためのハードウェアの拡充も並行してすすめていく。
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