2013 Fiscal Year Research-status Report
信用度計算の頑健性に着目したP2Pシステムの攻撃耐性の研究
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24500082
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤田 聡 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40228995)
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Keywords | 分散ネットワーク / ピアツーピア / 信頼度計算 / 分散計算 |
Research Abstract |
25年度は、P2Pシステム上の信用度計算の応用の一つとして、リソースの拠出に関するインセンティブ方式について集中的に検討を行った。具体的には、ライブストリーミングにおける品質保証と貢献に対する報酬をバランスよく実現するために信用度計算が重要な役割を果たすことを確かめている。本件については現在その成果を国際会議に投稿中であり、国内外の研究者からの意見を広く聞いて、本年度以降の研究に生かしていく予定である。 また昨年度行った構造化P2Pを対象とした検討のうち、ドロネー三角形分割に基づくP2Pオーバーレイ(ドロネーネットワーク)についてさらに検討を行い、ドロネーネットワークの階層化手法の提案とその性能のシミュレーションによる評価を行っている。本件については26年度中に国際会議等での発表を行い、信頼度計算の効率化に向けた検討に移行する予定である。 また信用度計算に関する切り口として、1)匿名性を保証する検索手法の検討、2)電子透かし技術との組み合わせによる共謀者検出プロトコルの検討、3)信頼度計算を分散的に実現するための効率的な情報伝播手法の検討などを24年度に引き続きおこなっており、26年度も継続して研究を実施していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的は、非構造化P2Pと構造化P2Pの双方について頑健性のある信頼度計算のあり方をあきらかにすることである。現在までのところ、1)基本的な信頼度計算の手法としてEigenTrustが適切であることを確認し、2)EigenTrustの分散計算には情報伝播の効率化が不可欠であり、そのためにはドロネーネットワークなどのような変化に対して強い耐性をもつオーバーレイが望ましいことを確認している。分散ハッシュテーブルのような構造化P2Pを用いた場合にどうなるのかについては本研究課題の残り2年間で明らかにできると予想しており、それらを統合することで、当初の目的はほぼ達成できると考えている。 また、研究の計画段階では明確ではなかったイシューとして、1)頑健性のある信頼度計算に意味のある応用分野の開拓、2)精密な信頼度評価と匿名性の両立の問題、3)悪意のあるアタックに対する耐性の問題、などが具体的なイシューとしてあきらかとなっており、これらの点についても順次あきらかにしていくことで、研究全体の完成度をより高められると考えている。 提案手法の評価のためのテストベッドの開発に関しては、マンパワーの点で十分に進捗していないが、既存の評価システムを部分的に利用するなどの方法で対応していくことが可能だと考えている。 以上の点より、いくつかの点で目標に達していないところはあるものの、当初の計画を上回る成果が得られた部分もあり、全体としての達成度という観点からは、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、2年間の研究の実施によってあきらかになったポイントがいくつかあるので、それらについて順次解決していくことが、今後研究を推進していく上での基本方針である。特に重要なポイントは、1)階層化ドロネーネットワークを使った頑健で高効率な信頼度計算手法の考察、2)信頼度計算における匿名性保証の具体的な方法の検討、3)信頼度計算手法の評価のためのテストベッドの開発、の3点であり、それらについて順次検討を進めていきたい。 なお上記3のテストベッドに関しては、現在のところ、汎用のP2PシステムのシミュレータであるPeerSimを改良する形で実現することを計画しており、夏以降に具体的な設計と実装に着手する予定である。いくつかのイシューについて並行して進めており、それぞれのイシューごとに進捗状況は異なっているが、具体的な成果が得られ次第外部発表を行い、(査読者を含む)国内外の研究者からの意見を取り入れることで、研究のレベルをあげていくことを考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度で発表する予定だった国際会議には採録されず,研究成果を発表するための国際会議が翌年にずれ込んだため。 国際会議への参加に伴う旅費と参加費として使用。
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