2013 Fiscal Year Research-status Report
構造を持つデータの構造情報ダイジェストを利用した類似検索の高速化
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24500111
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
古賀 久志 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 准教授 (40361836)
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Keywords | グラフ / 類似検索 / ハッシュ法 / コンテンツベース画像検索 / 構造データ |
Research Abstract |
今年度も継続して(1)構造ベース画像処理と(2)グラフの類似検索用の構造ダイジェストの設計とという2課題に取り組んだ。 (1)については、まず複数個のオブジェクトを含む画像で構成される画像集合からの自動オブジェクト発見に取り組んだ。提案手法では、各画像をグラフとして表現し、何度も頻出する部分グラフ構造を意味のあるオブジェクトとして発見する。本テーマは昨年度からの継続であり、今年度はある程度大規模な画像データベースに対して提案手法の有効性を示した。処理対象の画像が増えるにつれて、頻出部分グラフを探索する計算時間が大きくなる。そこで、頻出部分グラフ探索時に、明らかに似ていない画像に対しては処理をスキップすることで高速化を実現した。本研究成果は現在、査読付き国際会議に投稿中である。 次に、類似画像検索に取り組んだ。類似画像検索では、現在BoVWという画像内特徴点のヒストグラム間類似度を求める手法が標準である。この標準法では特徴点が前景、背景に属するかという画像の構造情報を利用しない。そこで、前景、背景で別々にヒストグラムを作成し、2枚の画像の前景同士、背景同士を比較することで類似検索精度を向上しようという試みがある。しかし、これを実現するには少なくとも学習画像内でどこが前景であるかを教示する手間が必要である。本研究では、前景領域を信号処理によって得られる顕著特徴領域で近似することで、どこが前景であるかという教示を必要としない手法を提案した。1000枚の画像を用いた実験により、提案手法が標準法の認識精度を5%向上できることを示した。本研究成果は電子情報通信学会のPRMU研究会で発表した。 (2)のグラフからの構造情報ダイジェストの設計については、考案した構造情報ダイジェストを用いて類似検索を行うとfalse negativeが多く発生するという問題を解決できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
構造ベース画像処理については、(1)構造情報を利用した類似画像検索や(2)グラフベースの画像からのオブジェクト発見など、複数の研究テーマに対して、今年度も順調に研究成果があがり、国内の研究会での発表や国際会議への投稿ができた。しかし、構造情報ダイジェストを利用したグラフデータに対する類似検索の高速化に関しては、false negativeが多く発生するため、実用的な検索精度がいまだ達成できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の研究進捗状況を振り返ると、実アプリケーションの開発に時間に取られすぎたことが反省点である。26年度は最終年度なので、有効な構造ダイジェストの設計に集中して研究を進める。false negativeが多く発生するという問題に対して、ノイズに対してロバストな構造情報ダイジェストを生成できるよう設計の見直しを進めている。いかにグラフの構造情報を、ノイズに影響されないくらいに抽象表現できるかが鍵となる。これは与えられたデータにどの程度ノイズが含まれるかに依存するため、データに対して適応的に構造情報ダイジェストを生成する仕組みを開発する。実験評価は必ずしも実データにこだわらず、人工的にノイズを入れたデータを用いて、短期間で提案手法の評価を完了できるように尽力する。構造ベース画像処理については国際会議に投稿中である。もし不採録となった場合には、いただいたコメントに対応して研究のレベルを上げて再投稿を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際会議での成果発表を2件予定していたが、研究進捗が予定より数か月遅れたため、平成26年3月までに発表に至らなかった。 現在、上記2件の成果はヨーロッパでの国際会議に投稿中で査読を受けている状況である。これらが採録された場合は、次年度使用額を旅費、学会登録費として使用する。
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Research Products
(2 results)