2013 Fiscal Year Research-status Report
「箸」センシングに基づく食育支援システム構築法の研究
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24500187
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
金田 重郎 同志社大学, 理工学部, 教授 (90298703)
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Keywords | ユビキタス / センシング / 箸 / 導電性 / 食育 / 食べ物 / 老人 / 集団性 |
Research Abstract |
本研究では,ユビキタスセンシング技術を用いて,「何時食事をしているか」「誰と食事をしているか」「和やかに食事しているか」等を,自動計測する技術を確立し,併せて,当該技術を用いた食育支援システムの構築を目指している.具体的には,食物・箸・人体によって形成される閉ループの存在を,電圧を印加した際のループ電流によって検出する.今期の進捗は以下の通りである. (1)摂食動作検出については,食物7種,被験者10人の評価実験によって,食べ物を掴む動作は100%の精度,口へ運ぶ動作についても99%以上の精度を確認した.この成果については,学術的国際会議への報告,及び,電気学会ジャーナルへ投稿を行い,いずれも採録されている(ジャーナル論文は2014年4月発行). (2)昨年から研究開始したカメラを肘につけるアプローチについては,動画像処理により,食物を口に運ぶ動作を74%の精度で検出できることを確認できた.食事を摂っていることの確認には十分と考える.しかし,カメラの特質を生かしたアプローチとして,実現を目指した食品種別の判定については,少なくとも本年度では十分な精度が得られなかった.現場での照明条件の悪さが大きな原因と推定される.これらの成果は,学会全国大会(FIT2013)において報告した. (3)集団の分析については,導電性箸を用いた実験によって,「話題に入ってゆけない人」の口に物を運ぶ間隔の分散が少ない(周囲に無関係にひたすら食べている.ただし,食べるスピードは必ずしも早いとは言えないので,平均値ではなくて,分散を採用)ことを見出した.この成果は,上記国際会議等に併せて報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
箸を用いた集団行動分析にほぼ期待されていた結果を得たこと,箸を用いた手法に対するオルタナティブとして昨年度からスタートした肘にカメラを付ける方式が,少なくとも,「食事をどの程度摂っているか」を検出するためには十分な性能を持つことを確認できたという意味では,一定の進捗を見た.また,国際会議での報告,ジャーナル論文化も実施できた. しかしながら,当初から予想された,無線化はあいかわらず,見通しが立っていない.市販品の部品はいずれも「薄くて小さい」を前提として設計されているためである.この点については,別のオルタナティブを一年間,考えてみる必要を感じている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の「箸・食物・人体」が形成するループに着眼した「食物を箸で掴んだ」「食物を口で咥えた」を検出する技術は,実用上問題の無い性能が得られることが,2年間の研究活動により確認できたと考える.その意味では,基本技術は確立されている.しかし,箸からPC等へのワイヤレス無線データ伝送の実現は,課題のままである.幸い,BLE(ブルーツース・ロー・エナジー)部品の入手容易となっていることもあり,その可能性を引き続き追究する. 更に,閉ループの検出方法として,動作が確認されている箸にアクティブな部品を装着するアプローチだけではなく,「口・箸・人体」をひとつのショートサーキットと見なし,体の特定部位間の抵抗によって検出することを試みたい.このアプローチでは,腕等に電極を取り付ける必要が生じるかもしれないが,箸自体は,導電性さえあればよくシンプルである.現実的アプローチとしてオルタナティブテーマとしたい.
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Research Products
(3 results)