2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Matsue National College of Technology |
Principal Investigator |
和田守 美穂 松江工業高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (20270324)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 音色 / 視覚化 / 音響信号 |
Research Abstract |
楽器の演奏技術を身に付けていく過程で最も難しいのが音色の向上である。特に初心者にとっては,自身と上級者との音色の違いを明確に認識することは困難である。 そこで,音色の感性情報をグラフィクスアニメーションとして視覚化することにより,聴覚情報として捉えることが困難な音色の印象を視覚情報から得られるようにするのが本研究の目的である。 平成24年度の研究では,音色の感性情報を視覚化する際に用いるグラフィクスアニメーション生成アルゴリズムの候補として,フラクタルアートを用いる手法を検討した。本手法では,対象音をクラリネットとし,その音色に含まれる物理量のうち,第3,第5倍音のパワースペクトルの傾きと,第5~第10倍音のパワースペクトルの和を音色パラメータとして用いることにし,これらの音色パラメータの値に応じてフラクタルアートを生成するプログラムを作成した。音色に関係する物理量はこれらの他にも様々なものがあり,それらの複数の物理量を総合して音色として認識されるが,今回は音色の視覚化手法を提案するための基礎的な研究段階として,これらの2つのパラメータに絞り,フラクタルアートを生成するアルゴリズムを採用した。さらに,本手法により実際のクラリネット演奏音からフラクタルアートアニメーションを生成し,音色に関する物理量の変化をアートの変化として視覚的に認識できるか,逆に,アートを近づけるように演奏を工夫することで音色に関する物理量も近づくのかについて,試用実験および聴取実験を行った。その結果,音色に関する物理量から生成したフラクタルアートにより,音色の違いの認識が可能であることを確認した。 また,これらの研究成果について,日本音響学会春季研究発表会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究で行う予定であった楽器音サンプルの収集については,吹奏楽部部員の演奏音の収集に留まっているものの,それらの音響信号の解析および,音色の視覚化に用いる音色パラメータの選定は予定通り行っている。さらに,音色の視覚化の有効性に関する聴取実験を行うため,音声の入力および音色の視覚化をリアルタイムに行うことが可能なプログラムの作成も行った。また,実験内容は多少変更したものの,開発した音色視覚化プログラムによる試用実験,聴取実験も行っており,おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究では十分に行うことができなかった楽器音サンプルの収集について,スキルレベルの異なる複数の音響データを収集し,スキルレベルによる音色の違いについて解析を行う予定である。これらの解析の結果から,フラクタルアート生成に使用する音色パラメータの算出方法について再検討を行い,プログラムを改良する。 また,音響解析の結果得られる物理量をそのままグラフ化することで視覚的に音色情報を認識する方法に比べ,提案手法の優位性を示すための聴取実験も行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記のように,平成24年度の研究では研究計画を一部変更し,聴取実験や実験に使用するプログラム作成を追加で行ったため,当初予定していたプロの演奏家の演奏音収録など,様々なスキルレベルの演奏音を十分に収集することはできなかった。よって,これに伴う旅費・謝金による支出が計画時より少なくなり,予算残が生じた。 平成25年度の研究費の一部は,平成24年度に実施できなかった演奏音の収集のため,旅費・謝金に使用する予定である。また,よりクリアな楽器音を収集するため,録音に必要な設備を整える。具体的には,マイク,レコーダ,簡易防音室などである。さらに,成果発表のための旅費などに使用する。
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Research Products
(1 results)