2012 Fiscal Year Research-status Report
視覚系の動き検出処理に学ぶ各画素が連続的な時間軸をもつ実像処理
Project/Area Number |
24500247
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
塚田 章 富山高等専門学校, 電子情報工学科, 教授 (40236849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋田 純一 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (10303265)
前田 義信 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90303114)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 実像処理 / 錯視 / 神経回路 / イメージセンサ |
Research Abstract |
本研究では,視覚系における優れた動き検出能力の要因の1つとして,受光細胞ごとに信号を時間連続的に扱うという点に着目し,実在する像を時間連続的に処理する「実像処理」と呼ぶ手法を構築することを目的とする.このため,①コンピュータを用いたソフトウェアエミュレーションによる実像処理の有効性の検証,②神経回路の側面からヒトの時空間的な情報処理のメカニズムの解明,③実像処理をリアルタイムで行うためのハードウェア実現方法の開発を行う.本年度は以下の成果が得られた. ①エミュレータの構築において,網膜における順応の空間特性及び充填処理部分をGPUにより高速化した.順応の空間特性については,画像と低周波フィルタをFFT処理し,掛け合わせた後逆変換することで,充填処理については,CG法を用いて高速化を図った. ②神経活動を電子回路で模擬的に再現するには,ニューロン・シナプスモデルを設計しそれらの結合系を実現する必要がある.具体的には中枢パターン発生器と呼ばれる生体リズムを生成する仮定された神経ネットワークモデルを構築した.このネットワークモデルではニューロンモデル間をつなぐ抑制性シナプスモデルの電圧源に乾電池が用いられるがその数が膨大となるため,小型化の検討が必要であった.今回,乾電池,DC-DCコンバータ,フォトカプラの3つの特性を比較し,神経ネットワークモデルにおける情報伝達特性の観点からは,フォトカプラが最良であることが分かった. ③網膜上では受光素子ごとに独立な,連続時間系として処理が行われているが,この処理のうち動き検出をとりあげ,受光素子ごとに独立・連続時間系において動き検出処理を行うアルゴリズムとして,頂点検知法と自己相関関数法の両者を,外乱に対する安定性の観点から比較検討した.その結果,自己相関関数法では外乱が加わった場合でも非常に良好な動き検出が可能であることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①エミュレータ構築については,構成される処理のなかでも処理時間を要する部分のGPUによる実装に目処が立った. ②神経回路については,神経系の情報伝達特性の観点から考察したが,消費エネルギー特性の観点からの分析は今後の課題.特に神経システムにおける情報伝達の効率性は,低消費エネルギーのもとでの大量情報処理,という観点から調べられねばならない. ③ハードウェア実現方法については,独立・連続時間系での動き検出処理アルゴリズムについて検討し,自己相関関数法では外乱が加わった場合でも非常に良好な動き検出が可能であることが示された.
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Strategy for Future Research Activity |
それぞれの研究者が以下の方策を推進しつつ,互いの成果について議論し連携を図る. ①本年度検討した処理以外の残された処理を高速化を図りつつプログラム上で構築する.構築したエミュレータを用いて,時間の連続性を考慮したシミュレーション方法について検討する. ②消費エネルギー特性の観点からのモデルの評価及び中枢パターン発生器を用いたリズムの分岐現象の解明を試みる. ③本年度は独立・連続時間系での動き検出処理アルゴリズムについて検討したが,今後はその回路的実装方法とその評価を予定通り進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3月25日に納入された「生体医工学」別刷代・掲載料244,650円が4月12日に引き落とされる. ①GPUボードやカメラとの相性を確認するためPCの購入を控えていたが,本年度PCの購入とGPUボードの追加購入及び,当初計画のパンチルトヘッドを購入予定である. ②現在,設計中のハードウェア電子回路ネットワークの性能を評価するために,一例としてバイオメタルの制御に取り組んでおり,そのための繰越金となっている.近いうちにバイオメタルを購入する.その他,回路素子,基盤等の電子部品の購入を予定している. ③独立・連続時間系での動き検出処理回路の試作と評価のための材料・機材を購入予定である. 加えて,成果発表における,掲載料,旅費等を見込んでいる.
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Research Products
(4 results)