2013 Fiscal Year Research-status Report
自発的学びを醸成する公共図書館の生涯学習機能に関する実証的研究
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24500290
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 右子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (30292569)
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Keywords | 公共図書館 / 生涯学習 / エンパワメント |
Research Abstract |
本研究では公共図書館を拠点とした女性のエンパワメントに関わる活動および図書館自体を学びの対象とした自主的活動に着目し、その実践を公共図書館固有の生涯学習の様態としてとらえた上で、そうした学習活動のプロセスと成果を実証的に明らかにすることを目的としている。 平成24年度は公共図書館における「女性の自発的学び」について、これまでの活動実践の史的展開(20世紀初頭から現在まで)、地域的展開(日本・アメリカ・北欧)の二方向から分析し、公共図書館に特徴的な女性の自発的な学びとエンパワメントにかかわる本研究の分析モデルの構築を行なった。 平成24年度から平成25年度にかけてこのモデルに基づき、日本の公共図書館において展開されてきた図書館作り運動から現在の図書館支援活動を、図書館自体を学びの対象とした主体的な学習活動としてとらえ、史的展開を踏まえその全体像を検討してきた。公共図書館が生涯学習装置として持つ普遍的/基本的機能の中に女性のエンパワメント支援が含まれていることを明らかにし論文にまとめた。また国際会議でPublic libraries as places for empowering women through autonomous learning activitiesのタイトルで発表を行ない、海外の研究者と公共図書館とジェンダーにかかわる議論を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点までに ・公共図書館に特徴的な女性の自発的な学びとエンパワメントにかかわる本研究の分析モデルの構築 ・図書館自体を学びの対象とした主体的な学習活動の具現化 ・生涯学習装置としての公共図書館と女性のエンパワメントとの関わり 等、本研究の中核部分を解明する研究が進んでおり、最終年度に向けた見通しが得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は平成25年度から着手した(1)公共図書館を対象とした自発的活動グループによる刊行資料の分析、(2)公共図書館を対象とした自発活動の長期活動者へのインタビュー分析の2つをさらに進め、(1)(2)ともに論文にまとめる予定である。これらの作業を通じて、公共図書館を拠点とする女性のエンパワメントに関わる活動を統合的に把握し、生涯学習機関として公共図書館の持つ潜在的可能性について総合的に解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は補足的インタビュー調査を行うための国内旅費とインタビュー対象者への謝金とテープ起こしの費用が予定されていた。しかしながら1回目のインタビューの分析を終了してから、補足インタビューを行なうこととしたため、この作業と予算が平成26年度に持ち越された。また研究成果発表のための資料整理は、研究者本人が行なうことが適切と判断されたため、人的サポートは受けずこのための費用も発生しなかった。 上記の経費(インタビュー調査を行うための国内旅費とインタビュー対象者への謝金とテープ起こしの費用)は本年使用する予定である。本年は研究機関最終年に当るため、最終的な研究成果発表に向け人的サポートを受けるための支出も予定されている。
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