2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24500323
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
宮崎 謙一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (90133579)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 絶対音感 / 相対音感 / 国際比較 / ソルフェージュ教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,これまで行ってきた絶対音感テストと相対音感テスト,および音楽経験等を問う質問紙を用いた調査の追加データを得た。ペキンの中央音楽学院の学生70人と,ワルシャワのショパン音楽大学の学生110人から得られたデータから,異なる専攻分野間の比較をすることが可能になった。その結果,ショパン音楽大学の音楽音響専攻の学生が,絶対音感と相対音感ともに最も優れていることがわかった。また今年度にえられたアメリカのミネソタ大学音楽学部の第1セメスターの学生35人のデータとこれまで得ていた第2,第3セメスターの学生のデータを比較した結果,第1セメスターの学生の相対音感テストのスコアは第2, 第3セメスターの学生のスコアにくらべて有意に低いことがわかった。この結果は,大学入学後のソルフェージュ教育が効果をあげていることを示していると考えられる。これに比して,日本の音楽学生についてセメスター間の比較をしてみたところ,第1から第8セメスターまでの群の間で相対音感テスト・スコアに有意な上昇が見られないという結果になった。これは日本で行われているソルフェージュ教育がうまく機能していないことを示唆するものと言える。これらの成果をヨーロッパ音楽認知科学会と日本音楽教育学会で発表した。 日本のこのような現状を問題としてとらえるとき,諸外国でソルフェージュ教育がどのように行われ,どのような成果をあげているかを調査することによって,日本の音楽教育がはらむ問題を解決するための示唆が得られると考えられる。そこでワルシャワのショパン音楽大学とブダペストのリスト音楽院コダーイ・インスティテュートの研究者と会い,この問題についての今後の研究へ向けた準備を行った。
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Research Products
(3 results)