2012 Fiscal Year Research-status Report
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24500351
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
永田 靖 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30198337)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | タグチメソッド / ロバストパラメータ設計 / 傾向スコア / MTシステム / RT法 / 工程能力指数 |
Research Abstract |
従来からの標準的なSN比解析ではうまく機能しないデータパターンとして,複数の信号因子が存在する場合を考える.このようなデータに対する解析方法を開発し,その数理的性質を研究した.また,実データに適用し,その性能・効果を検討した.その結果,開発した方法が有用であることがわかった. 受動的にしか観測できない誤差因子が複数個存在する場合を考える.このときにはタグチメソッドの標準的な手法である「調合」が不可能になる.そこで,傾向スコアを用いて誤差因子を1次元化することにより,回帰分析の枠組みで「調合」する方法を開発し,シミュレーションおよびデータ解析に基づき,その性能・効果を検討した.その結果,開発した方法が有用であることがわかった. MTシステムに関連した方法については,次のような研究を行った.まず,RT法を発展させて,アンサンブル学習を取り入れた方法を開発し,シミュレーションとベンチマークデータを用いて,その性能・効果を検討した.その結果,開発した方法が有用であることがわかった.さらに,MT法を金融・財務分野の粉飾決算データ判別に適用し,どういった項目で粉飾がなされているか検討するシステムを構築した. SN比が同じ値になるにもかかわらず,適用できるモデルが全く異なるデータを作成し,解析手法を用いる際の注意点を明らかにした. 工程能力指数についてユーザーに注意をうながす,まとまった解説資料を作成し,公表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
タグチメソッド(Taguchi method)の体系的な理論化を目指す.特に,実験計画法におけるSN比(signal to noise ratio)の一般化と特徴付け(以下,研究Iと参照),および,MTシステム(Mahalanobis Taguchi system)の理論的研究(以下,研究IIと参照)を行ってきた. 研究Iについては,様々な状況で提案されているSN比の性質を数理的側面から整理し,新たなSN比を提案し,応用に際してどのような性質をもつSN比を使用すべきかの指針を策定することを目標とした.その中で,信号因子を複数に拡張し,調合できない誤差因子を傾向スコアを用いてまとめあげるなど,新しい成果を出すとともに,従来手法の弱点を補強することができた.3年間の目標の中で,半分程度の達成度と考えることができる. 研究IIについては,MTシステムの各手法がどのような利点・弱点を持つのかを明らかにし,弱点を改良し,既存の多変量解析の各手法と比較して,応用上の指針を策定することを目標とした.その中で,RT法の有用性・弱点をより明らかにし,より補強する手法の提案に至った.小標本に対するMTシステムの弱点の克服などについても改良手法を提案することができた.こちらも,3年間の目標の中で,半分程度の達成度と考えることができる. 以上より,24年度は,3年分の目標の半分程度を達成することができ,当初の計画以上に順調に研究が進捗していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究I:標準的なSN比解析ではうまく機能しない事例を調査し,その理由を解明する.さらに,それを克服するSN比を提案し,その数理的性質を解明する.また,数理的なアプローチとして,一般化線形モデルの枠組みを用いたSN比解析を構築し,その性能を検討する. 研究II: T法(1)は重回帰分析と同様の場面で使われることが多いが,実際に重回帰分析と比較して性能がどのようになっているのかを検討する.特に,T法(1)に関する変数選択の問題,回帰診断の問題を取り上げ,その性質を議論し,新たな方法を開発したい.さらに,誤圧に関する研究も行っていきたい.そして,データ形式を広げ,時系列データに関する解析ができるような枠組みの構築を目指したい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
高性能のパソコンを購入したい. 関連図書を取りそろえたい. 連携研究者とともに,国内外の学会やシンポジウムなどに参加をして,研究成果を発表するとともに,同じ分野を研究している研究者との交流を深めたい.
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Research Products
(10 results)