2013 Fiscal Year Research-status Report
高解像度イメージング法を用いた興奮性シナプスの構造解析
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24500405
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩崎 広英 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30342752)
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Keywords | シナプス / 光学顕微鏡 / 電子顕微鏡 / コネクトーム |
Research Abstract |
本研究では広範囲に亘る高解像度イメージング法の技術的基盤を確立し、脳の広い範囲において興奮性シナプスの局在を明らかにし、神経細胞ネットワークを3次元再構築することで脳を構成する神経ネットワークの全貌に迫ることを目的としている。本年度は、昨年度に導入した超薄連続切片自動回収機ATUM (Automated Ultrathin-sectioning machine)を用いて光学顕微鏡観察用に作成した超薄連続切片を作成し、自動で超薄連続切片を回収するシステムを構築した。さらに光学顕微鏡のステージを自動制御することで広範囲からの画像を自動取得するシステムを構築した。さらに、得られた画像をつなぎ合わせることでマウス脳の大脳皮質の全層をカバーする広い領域に亘った高解像度イメージの作成に成功した。また興奮性シナプスのシナプス前膜の分子マーカーであるVGluT1,VGluT2やシナプス後肥厚部の分子マーカーであるPSD-95に対する抗体を用いて興奮性シナプスを可視化することにも成功した。さらにATUMで回収した超薄連続切片の電子顕微鏡での観察にも成功している。今後は子宮内穿孔法により各種蛍光タンパク質を導入して、特定のスパインを可視化し、電子顕微鏡での観察と光学顕微鏡での観察とを並行して行い、さらに超薄連続切片からの画像取得による3次元再構築により脳の広い範囲における興奮性シナプスの分布・特徴抽出を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにArray Tomography法を確立し、中枢神経系の興奮性シナプスのイメージングに成功している。また、ATUMの導入により超薄連続切片の自動取得にも成功しており、さらに得られた超薄連続切片を自動化されたステージ上で画像取得する光学顕微鏡のシステムの構築にも成功している。これらにより、広範囲に亘る中枢神経系の興奮性シナプスの高解像度イメージング法の技術的基盤の確立を達成することができた。またATUMを用いて回収された超薄連続切片の電子顕微鏡による画像取得にも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は子宮内穿孔法により蛍光タンパク質を神経細胞に導入することにより、スパインの光学顕微鏡による観察と、同一スパインの電子顕微鏡による観察、さらに超薄連続切片からの画像取得による3次元再構築により、nascent synapseにおけるシナプス局在分子の分布を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度の研究費を用いて購入した実験動物や消耗品等を使用することで、予定よりも少ない額で研究を遂行することができたため。 次年度は本研究課題の最終年度にあたり、これまでに確立した技術的基盤を用いて膨大な量の試料を作成・解析する必要があるため、本年度の次年度使用額と次年度予算とを合わせて技術補佐員の雇用を検討している。
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Research Products
(8 results)