2013 Fiscal Year Research-status Report
動的に活動する大脳皮質神経回路におけるnNOS細胞の機能
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24500457
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
遠藤 利朗 名古屋大学, 環境医学研究所, 准教授 (30353436)
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Keywords | 大脳皮質 / 一酸化窒素合成酵素発現神経細胞 |
Research Abstract |
昨年度までに、P物質(substance P, SP)によって、大脳皮質視覚野の神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)発現細胞のうちI型と呼ばれるタイプの細胞でCa2+透過性の非選択的陽イオン電流が誘発されること、そしてそれはホスファチジルコリン特異的ホスホリパーゼC(PC-PLC)の依存性の信号伝達経路に依存すること、また、PC-PLCが阻害された状況ではSPはある種のK+チャネルを抑制することが明らかになっていた。SPの受容体(neurokinin 1, NK1)は大脳皮質においてはI型nNOS細胞に特異的に強い発現が見られることから、SPの作用を詳しく調べることはI型nNOS細胞の機能を解析するうえで必須である。そこで、本年度もI型nNOS細胞に対するSPの作用機序を詳しく解析することにし、SPによって活性化されるイオンチャネルを同定するべく、様々なイオンチャネルの阻害薬の効果を検討した。そして、SPによって活性化される非選択的陽イオンチャネルについては、transient receptor potential (TRP)チャネルの阻害薬であるルテニウムレッドによって顕著に抑制されることを見出した。TRPチャネルには複数のサブファミリーがあるが、ルテニウムレッドはそのうちの主にTRPV等を阻害する。TRPCの阻害薬は有意な効果を示さなかった。一方、SPによって不活性化されるK+チャネルについては現在のところ検討を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大脳皮質のnNOS発現細胞の性質を詳しく調べることは本研究計画の重要な部分であるが、その部分を相当程度達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は大脳皮質の急性スライス標本で徐波睡眠様活動を誘発し、その時のnNOS細胞の活動を解析する実験を実施したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究計画はおおむね円滑に進んだため、未使用額を次年度に繰り越すことにした。 主に施設備品費および消耗品費として使用する予定である。
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