2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒト疾患モデルへの応用を目指したコモンマーモセットの腸管病原性大腸菌症の病態解明
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24500499
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Central Institute for Experimental Animals |
Principal Investigator |
林元 展人 公益財団法人実験動物中央研究所, その他部局等, 研究員 (30332208)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腸管病原性大腸菌 / コモンマーモセット |
Research Abstract |
24年度は計画にあげられている「わが国のマーモセットにおけるEPECの疫学調査」を中心に研究を行った。 1. EPECスクリーニングのための選択培地の評価:EPEC分離用の培地は市販されておらず、本菌分離のためには、腸内細菌用の培地(DHL寒天培地など)上の大腸菌様コロニーを盲目的にいくつかピックアップし、eae遺伝子をPCRで確認するという方法が取られている。そこで、培養検査をベースとしたEPECの簡便なスクリーニング方法を確立するために、市販の酵素基質培地を含む病原性大腸菌用選択培地の評価を行った。EPEC保存株、非EPEC保存株それぞれ20株に対し、発育性、特徴的なコロニーの形成の有無を確認したところ、市販の腸管出血性大腸菌用の培地であるXM-EHEC寒天培地上で特徴的な色(ターコイズブルー)を呈することが明らかになり、高い選択性が示された。また、野外の糞便サンプルにおいてもターコーズブルーのコロニーを示した132株は100%の確立でEPECであったことから、本培地はEPECの分離用培地として有用であることが明らかとなった。 2.臨床症状の異なるマーモセット糞便サンプルにおけるEPECの関与:コモンマーモセット由来糞便609サンプル(健常便310サンプル、下痢便310サンプル、血便99サンプル)に対し、菌分離を行った。その結果、健常便の13.2%(41検体)、下痢便の19.5%(39検体)、血便の53%(52検体)でEPECが陽性となり、血便でのEPEC陽性率が有意に高いことが示された。今後は本菌の分子疫学的性状の解明を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度のテーマであったコロニー内の疫学調査は予定通りに終えることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は分離株の病原因子を含めた性状づけと、生体への影響を明らかにするための感染実験を進めて行く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
病原性因子の解明のため、分子生物学的実験に用いる試薬(PCR用試薬、パルスフィールド電気泳動用試薬、ゲル等)とともに細胞付着性の機能評価をするためのセルラインの購入などを中心に進めて行く。
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