2013 Fiscal Year Research-status Report
MRI適合Au-Pt-8Nb合金の微細組織制御による特性改善
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24500528
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
浜田 賢一 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00301317)
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Keywords | アーチファクト / 磁化率 / MRI / Au合金 / 強度 / 加工性 |
Research Abstract |
前年度までの開発で,スウェージング加工によりAu-5Pt-7Nb合金を線材に加工することに成功した。しかし,この線材から動脈瘤クリップを試作する際に加工性が低いことが問題となり,加工前に1000℃で軟化熱処理(焼鈍)する必要があった。一方,焼鈍状態ではクリップに必要な閉鎖力を発揮することができなかったため,クリップ形状を作製後に700℃で硬化熱処理(時効硬化処理)することで,現在市販されているクリップと同じ閉鎖力を確保することができた。上記の熱処理はいずれも非酸化環境で行う必要があり,製造時間と製造コストにおいて問題ではあるが,大量生産されるデバイスではないこと,デバイス全体の製造コストに占める割合が比較的小さいことから,深刻な問題とは考えていない。一方,クリップの形状を保持するために装着されるブリッジ線と呼ばれる細線の取り付けにおいては,さらに強い加工が行われるため,焼鈍しても市販クリップと同形状には取り付けができなかった。このような細線における加工性を向上させるため,今後は線引条件の最適化を進めるとともに,結晶粒微細化効果が期待できる第4元素の微量添加を検討することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
元々加工性の低いAu-Pt-Nb合金から,市販されている動脈瘤クリップと同等の性能を示す試作クリップを作製可能な加工性を確保できることを証明した点で,研究は順調に進捗していると考える。加工性と機械的特性を両立させるために複数回の熱処理が必要な点は改善の余地があり,また,さらに加工性を高める努力も必要であるが,少なくとも一部の医療用デバイスへの応用が可能な特性を示す合金と線材が得られたと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
動脈瘤クリップのブリッジ線の加工においては,細線であるが故に非常に小さい半径で90度に屈曲させるデザインとなっていることから破断を招きやすいと考えられ,クリップデザインの最適化で対応することも可能と思われる,一方,さらに加工性や塑性変形能が要求されるステントの試作においては,細径パイプからのレーザーカットによる製造が比較的困難であること,試作ステントの拡張性が不足することを確認した。そこで,開発対象をステントグラフト用の編み上げステントに限定することを検討する。この場合でも,線材の加工性の向上が不可欠であり,線引工程の最適化による結晶粒形状の異方性制御や,第4元素としてRh等の添加による結晶粒微細化による改善を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,線材の加工による組織制御を主に行った。この研究は合金の作製から線材の加工まで一連の工程として田中貴金属工業株式会社の協力の下に行ったため,合金の試作量が当初想定より少なくて済んだ。そこで,第4元素の添加による更なる加工性改善の可能性を検討するため,次年度に使用することとした。 Au合金の結晶粒微細化による加工性向上効果が期待できる元素としてはRhやIrが知られるが,平成25年度に行った基礎的検討の結果,Pdにも可能性があるとの結果が得られたため,この3種類を候補としてAu-Pt-Nb-X合金を試作し,その相構成と微細構造を解析する。これらの貴金属元素はAuやPt以上に高価であることもあり,その購入予算として使用する。
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Research Products
(5 results)