2014 Fiscal Year Annual Research Report
神経障害性疼痛による大腰筋の左右差の形成に対する姿勢保持神経機構の関与
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24500604
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
上 勝也 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (20204612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仙波 恵美子 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (00135691)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 疼痛の緩和 / トレッドミル走 / 自発運動 / GABA / GAD65/67 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度のおもな研究成果は、トレッドミル走のような強制運動が神経障害性疼痛(NPP)モデルマウスの機械的アロディニアと熱痛覚過敏を緩和する(exercise-induced hypoalgesia [EIH])こと明らかにしたことである。本年度はEIHのメカニズムの解明をおもな目的として取り組んだ。その結果、1) トレッドミル走はNPPモデルマウスに生じる脊髄後角でのγ-アミノ酢酸(GABA)とグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD) 65/67の減少を抑制した。これらの結果より、脊髄後角でのGAD65/67の増加に起因するGABA産生の維持は、脊髄後角抑制性介在ニューロンの機能低下を防ぐことでEIHを生じさせる要因の一つとなることが示唆された。2) 実験動物に対する運動負荷法は強制運動と自発運動に大別されるが、自発運動がEIHに有効かどうかについては明らかにされていない。そこでランニング・ホイールを置いたケージでNPPモデルマウスを飼育した(PSL-Runnerマウス)ところ、PSL-Runnerマウスの機械的アロディニアと熱痛覚過敏は有意に緩和され、さらにPSL-Runnerマウスの運動量はvon FreyとPlantarテストの逃避閾値と正の相関を示した。これらの結果より、自発運動はEIHを生じさせること、さらに自発運動量はEIHの程度に影響を及ぼすことが分かった。このように本年度の研究成果は、EIHを生み出すメカニズムに新たな知見を加えることができ、さらに自発運動がEIHを生じさせた実験結果は、心理的・身体的ストレスとEIHとの関係を検討する新たな研究課題へと発展した。
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