2013 Fiscal Year Research-status Report
実世界写像モデルによる視覚コミュニケーションの分析および記述の研究
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24500644
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
中園 薫 工学院大学, 情報工学部, 研究員 (60531267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長嶋 祐二 工学院大学, 情報工学部, 教授 (50138137)
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Keywords | ヒューマンコンピュータインタラクション / ヒューマンコミュニケーション / ビジュアルコミュニケーション / 福祉情報工学 / 手話 |
Research Abstract |
前年度までに抽出された3種類のろう者特有の表現手法(対照表現,ナレーション,ロールチェンジ)を応用したデザインによる動画ピクトグラムの製作,およびそれらの評価検討・分析作業を進め,並行して写像的表現手法の記述方法の検討を行った. 動画ピクトグラムを作成・記述する方法として,TVMLの利用を検討した.TVMLとは,NHK技研により開発されたTV番組のプログラムを記述する言語である.TVMLを利用することによって,任意のキャラクタや背景などを配置し,キャラクタの表情や動作などを定義することが可能となる.製作する動画ピクトグラムの内容として,「電車に乗り遅れた」「車内に荷物を置き忘れた」「切符をなくした」など,抽象的概念を含み,静止画だけで表現することが困難な8種類の文を選択し,これらの文を,対照表現,ナレーション,ロールチェンジなどの表現手法を利用して,TVMLによって動画ピクトグラム化した.本作業には,背景や小道具,キャラクターの作成,およびそれらの配置や動作の記述などの作業を要した. 続いて13名の被験者により,これらの動画ピクトグラムが何を表しているかを答えさせる評価実験を行った.その結果,表現する上で修正すべき点がいくつか明確になった.また全体的には,従来の静止画ピクトグラムや手書きピクトグラムと比較して,理解しやすい動画ピクトグラムが記述するできることを確認した.また,写像的表現手法の記述方法として,TVMLの上位となる記述方法や,言語仕様の概要について検討を行った. これらの成果の一部をまとめて論文「ろう者による視覚表現手法を応用したピクトグラムデザインの試み」としてヒューマンインタフェース学会に投稿し,採録された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までの検討の結果,視覚コミュニケーションの分析から得られた実世界写像モデルに基づいたナレーション,ロールチェンジ,対照表現などの表現手法を,動画ピクトグラムのデザインに応用する端緒を開くことができた.TVMLを利用することにより,絵を手描きすることなく動画ピクトグラムをプログラムを書くようにして記述することが可能となった.また,背景や小道具等も再利用・流用できるなど,動画ピクトグラムの記述が効率的にできるようになった.これにより,従来行ってきた検討成果を評価実験により確認する枠組みが完成した.これは大きな進捗といえる.実際,手描きよりも高品位な動画ピクトグラムや動画データの作成が可能となった.また,実世界写像モデルによる記述方法に関しては,TVMLとの関連付けが可能となり一定の進歩が見られた.以上を総合して全体としては順調な達成度といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,初年度(2012年度)は京都工芸繊維大学,2年度目(2013年度)は工学院大学を研究拠点として実施してきたが,次年度(2014年度)は拠点を兵庫県立福祉のまちづくり研究所に移す.工学院大学長嶋祐二教授の研究分担は継続する. 次年度は,最終年度のまとめとして,詳細な評価を通して提案手法の有効性を確認するとともに,より効率的な記述手段についても検討を行う.また,実世界写像モデルによる記述体系とTVMLとの関連付け,階層構造化および変換技術等について検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2014年3月18日から21日までの間予定されていた,電子情報通信学会総合大会(新潟大学)に参加する予定であったが,他の用務が重なったためにやむを得ず中止した.このため次年度使用額が生じた. 次年度に繰り延べた使用額については,旅費使用を原則として,当該研究テーマに関する情報の取得,研究成果の学会へのアピール等,研究の完成度を高めるため使用していく予定である.
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Research Products
(4 results)