2013 Fiscal Year Research-status Report
視覚障害者用移動支援システム間の連続性に関する基礎研究
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24500646
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
藤澤 正一郎 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (50321500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 克也 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (10403651)
伊藤 伸一 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (90547655)
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Keywords | バリアフリー / 視覚障害者用誘導用ブロック / 音響式信号機 / 移動の連続性 |
Research Abstract |
視覚障害者にとって視覚障害者用誘導ブロック(通称、点字ブロック)や音響式信号機は有用であり、それぞれISO規格が成立している。しかし、横断歩道口の点字ブロックと音響式信号機の接続については、明確なガイドラインがないのが実情である。そこで本研究は、横断歩道口における音響信号機の設置位置と歩行者(視覚障害者)の方向特性を調べることによってどのような設置位置が望ましいかの定量的データを提供することを目的としている。初年度の予備実験では、本研究室が保有する室内実験室において道路交通騒音の再現を行い、音響信号機の配置位置をパラメーターとして実験を行った。音響信号機のスピーカの位置は、横断歩道口中央の点字ブロックと中央から3m離れた地点(道路騒音側と反対側)に、横断歩道口と対岸にペアーで設置した。4パターンの組み合わせから、その内3パターンの歩行実験を行っている。平成25年度の本実験では、横断歩道口の中央から右側(道路騒音側)に3mの位置に音響信号機のスピーカーを設置し、残りの3パターンから2パターンを実施した。音響式信号機のない道路騒音のみの中央から中央までの歩行実験も加えて3パターンを行った。また、連続性にとって欠かせない横断歩道を渡り始めて対岸の横断歩道口にたどるための発光ブロックの有効性についても実験を行った。対岸に配置した横断歩道口の後方に敷設した発光ブロックをどの位置から発見することができるかという視認距離を計測した。被験者は僅かに視覚機能の残存する弱視者を対象とし、横断歩道口の後方に店舗の照明を想定した外乱照明を設置し、グレアの影響を調べた。環境照明を10Luxと20Luxの2種類で行い、横断歩道口の点字ブロックの配置もT字配置と斜め配置の2種類で行った。外乱照明に相当する発光板の高さも発光板の無い場合と高さの違う3種類の計4パターンについて計測実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の予備実験に加えて、平成25年度(2年目)には、予備実験に使用した音響式信号機の位置とは反対側のパターンについて実験を行い、予備実験の計測データと合わせて計測データとして活用することができた。予備実験では、音響式信号機のスピーカーの設置位置は、中央―中央と右端―右端、中央―右端の3パターンに対して、本実験では、実験手法のそのままとして左端―左端、中央―左端の2パターンに加えて、道路騒音のみの中央―中央のパターンを加えて3パターンを実施することによって、音響信号機の設置位置と道路交通騒音の関係を定量的に考察することができた。被験者は全盲20名で実施した。初年度の予備実験と平成25年度の本実験の成果から、点字ブロックの敷設と音響信号機の設置はお互いの連続性を確保できるように設計することと合わせて、道路交通騒音の影響を十分に想定した配置が必要であることが示された。この連続性に関する知見を学術講演会への公表も行い、当初の計画に想定していなかった重要な成果が得られた。また、この成果を国際会議(ユニバーサルデザインに関するヨーロッパの国際会議と国内の計測制御関連の国際会議)に最終年度で公表することが採択されている。 さらに、横断歩道口から横断歩道を渡りきる場合を想定して、対岸の横断歩道口に発光ブロックを敷設した場合の対岸を発見することのできる視認距離について実験を新たに行った。この場合は、視覚機能の残存機能を有する弱視者を対象として実施した。環境照明は国土交通省の歩道面の最低照度としている10Luxと20Luxで行い、対岸の外乱照明の有無と外乱照明の高さの違いによる視認距離の関係を定量的に考察することができた。被験者は52名で実施した。今後の横断歩道口の周辺環境への配慮を行うに当たっての指針を示すことができた。この成果も学術講演会への公表を行い、当初の計画以上の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
予備実験と本実験で得られた連続性に関する基礎データを最終年度に国内外の国際会議に公表することを予定しているが、今後は学術論文への投稿も予定している。その場合、新たな知見として本研究室がすでに過去に実施している道路交通騒音のない場合の歩行実験との比較を行いたいと考えている。なお、この場合、実験条件の違いもあり、比較を行う手法についても検討を行う予定である。また、対岸を見つける実験についても、学術論文に投稿予定である。最終年度は、得られた知見を公表するための年度として活動を行いたいと考えている。実際の道路環境に即した知見は今後の歩行者支援のガイドラインとなることが期待される。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] 横断歩道口用発光ブロックの認識に関する研究2013
Author(s)
池田 典弘, 高橋 和哉, 木村 有希, 稲垣 具志, 藤澤 正一郎, 佐藤 克也, 伊藤 伸一, 志賀 大輔
Organizer
第14回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会講演論文集
Place of Presentation
神戸国際会議場(兵庫県)
Year and Date
20131218-20131220
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