2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500664
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
松井 謙二 大阪工業大学, 工学部, 教授 (30613682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中藤 良久 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10599955)
水町 光徳 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90380740)
加藤 弓子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究員 (10600463)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 人工喉頭 / ハンズフリー / 発声支援 / ユーザーインタフェース |
Research Abstract |
1.基本概念モデルの構築: 先ず、喉頭摘出者団体の(社)銀鈴会の方々への調査を通じて、日常生活における課題の把握、整理を実施した。121名(男性105名、女性16名)の方へのアンケートで、機器の使用頻度、使用環境、使いやすさなどの観点から課題をまとめた。抽出された課題に基づき、ハンズフリー、抑揚付与機能、軽量、小型、目立たない外観のシステムの開発を目標とし、前腕の動きでON/OFF機能および抑揚制御機能を行う基本仕様をまとめた。また、人工喉頭部はネックバンドで首に固定する方法を基本とした。 2.ハンズフリーピッチ制御手法の研究: 過去のインタフェース技術を調査し上記の基本仕様を満足する動きセンサとして筋電位センサおよび加速度センサの基礎実験を行い、3軸加速度センサ+ARMマイコンを用いたコントローラを試作した。人工喉頭のON/OFF、所望のピッチレンジの選択、ピッチ制御の各機能を一次試作機により実現し、簡易評価の結果、30分程度の練習時間で、発話が可能になることを確認した。 3.人工喉頭部および口唇センサー部の研究: 人工喉頭部の課題として、振動音の低減、適切な位置への装着方法の検討が必要であることが明確となった。また、人工喉頭部用に振動スピーカを使用し駆動信号にRosenberg波を用いることで低域での音圧レベルと周波数特性の改善を確認した。支援システムとして筆談にも対応するため、言語モデルを用いた文字入力方式の開発を行い良好な特性を確認した。また、音声強調方式の検討を行うため、(社)銀鈴会にて電気式人工喉頭を用いた発話10名、および食道発声10名による発話の収録を行った。口唇センサー部に関しては、耳かけ型超小型マイク、および、外耳道マイクの評価を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、喉頭癌などによる喉頭摘出者が電気式人工喉頭を発声の補助器具として用いる場合、1.ハンズフリーでの機器操作、2.アクセント付与や疑問文のためのピッチ制御、3.豊かな音量での会話、が可能な発声支援装置の開発である。1および2に関しては、過去のインタフェース技術を調査し、動きセンサとして筋電位センサおよび加速度センサの基礎実験を行い、3軸加速度センサ+ARMマイコンを用いたコントローラを試作した。人工喉頭のON/OFF、所望のピッチレンジの選択、ピッチ制御の各機能を実現し、簡易評価の結果、30分程度の練習時間で、発話が可能になることを確認した。この内容に関して、学会発表3件を行った。従って、1および2に関しては、当初の計画以上に進展している。 3に関しては、先ず、人工喉頭発声の音声データベースを構築し、骨導マイク、外耳道マイクなどを用いた雑音抑制の評価を行った。その結果、外耳道マイクでの周波数特性が他のマイクよりも良好な特性を示すことが分かった。また、拡声機能については、ワイヤレスマイク、ワイヤレススピーカーによる一次試作を行い、(社)銀鈴会にて使用感評価を実施した。従って、3に関しては、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、平成24年度に行った基本概念モデル検討に基づき、ハンズフリーピッチ制御手法および人工喉頭部、口唇センサー部の基本方式研究の結果を踏まえて、二次試作機の開発および評価を行う。引き続き、3軸加速度センサや装着性の良いアクティブ電極による筋電位センサなどを用いて、前腕およびそれ以外の部位を用いて目立たずに行えるハンズフリーピッチ制御の実験を行う。評価については、(社)銀鈴会のご協力を得て、実際の人工喉頭ユーザーによる評価を実施する。喉に当てる振動体部分は、小型、軽量、低雑音が実現できる方式や音質の改善手法の検討を行う。口唇センサ部については、引き続き、小型耳かけマイク、外耳道マイクの検討を継続する。 平成26年度は、トータルシステムの機能プロトタイプ構築および評価を実施する。即ち、トータルシステム構築および操作性評価、明瞭度評価、操作習得に要する習熟特性評価などの総合評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、人工喉頭部の課題検討として、種々の振動デバイスを購入し比較検証する予定であったが、出力帯域の広い振動スピーカでの基本評価を優先したため、次年度繰越額が生じた。次年度の研究費の使用計画は、先ず、平成24年度に行った振動スピーカの評価結果を踏まえて、他の振動デバイスを購入し比較検討する。また、二次試作機製作のためのセンサ、マイコンなどの電子部品およびPCの購入、(社)銀鈴会で評価を行うための出張、8th ISCA Speech Synthesis Workshop(スペイン)にて成果を発表し、議論するための出張、などである。
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Research Products
(4 results)