2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500664
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
松井 謙二 大阪工業大学, 工学部, 教授 (30613682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中藤 良久 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10599955)
水町 光徳 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90380740)
加藤 弓子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究員 (10600463)
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Keywords | 人工喉頭 / ハンズフリー / 発声支援 / ユーザーインタフェース |
Research Abstract |
1.ハンズフリーピッチ制御手法の研究:平成24年度に行った前腕の動きを用いた抑揚制御方法と従来のボタン式人工喉頭制御方法との比較実験を行った結果、自然性で提案手法が有意に改良されていることを確認した。また、ユーザーの要望である目立たない操作を実現するため、指の動きを用いた抑揚制御方法を新たに試作し評価を行った結果、前腕の場合と同様に自然性の改善が確認できた。 2.人工喉頭部・口唇センサー部の研究 喉に装着する振動体に関して、目立たない装置開発のため、小型振動体を試作し、これを複数用いた方式の実験を行った。その結果、ネックバンドを用いた場合の振動体のフィッティングに関する課題が明確になった。次に、人工喉頭部用の振動スピーカに与える駆動信号の検討を行った。その結果、駆動信号に実際の発声音声から抽出したLPC残差波を用いることで、Rosenberg波よりも自然性が向上することを主観評価実験により確認した。またLPC残差波を抽出する際、/a/や/u/などの母音から抽出したLPC残差波を用いるとより肉声に近くなることが分かった。一方、筆談に代わる発話手段として、携帯端末上で文字入力を行い合成音声で発話を実現するシステムの開発を行った。iPad/iPhone上での実装を完了し、プロトタイプとしての動作を確認した。口唇センサー部に関しては、目立たない小型ワイヤレスマイクの試作を行い、装着感、音質、遅延の影響などについて銀鈴会の方々による評価を実施した。その結果、遅延の少ないワイヤレス拡声および簡易な音声強調によりユーザーからの良好な評価を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、喉頭癌などによる喉頭摘出者が電気式人工喉頭を発声の補助器具として用いる場合、1.ハンズフリーでの機器操作、2.アクセント付与や疑問文のためのピッチ制御、3.豊かな音量での会話、が可能な発声支援装置の開発である。1および2に関しては、3軸加速度センサ+ARMマイコンを用いた前腕コントローラおよび指先コントローラを試作した。人工喉頭のON/OFF、所望のピッチレンジの選択、ピッチ制御の各機能を実現し、また、振動体の駆動波形に関しての改良も行い、従来の電気式人工喉頭に比べて、自然性が勝っていることを確認した。この内容に関して、学会発表3件、論文2件、解説記事1件を発表した。従って、1および2に関しては、当初の計画以上に進展している。 3に関しては、拡声機能について、ワイヤレスマイク、ワイヤレススピーカーによる試作・評価を繰り返し、(社)銀鈴会にて使用感評価を実施した。従って、3に関しては、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成25年度に行った基本概念モデル検討に基づき、ハンズフリーピッチ制御手法および人工喉頭部、口唇センサー部の試作実験結果を踏まえて、各部の改良を行う。喉に当てる振動体部分は、小型、軽量、低雑音が期待できるモーター駆動方式の検討を従来の振動体の改良と並行して行う。口唇センサ部については、遅延の少ない小型ワイヤレスユニットを用いた試作・評価を行う。また、トータルシステムの構築、操作性評価、明瞭度評価、などの総合評価を行う。評価については、(社)銀鈴会のご協力を得て、実際の人工喉頭ユーザーによる評価を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は人工喉頭部の音質改善として、種々の音声データの収録やデータベースの購入を行い、話者ごとの比較検討を行う予定であった。しかし母音での基本評価を優先したため、データベース購入費用や音声収録費用について繰越額が生じた。 平成26年度は音声データの収録やデータベースの購入を行い、人工喉頭部の音質改善やトータルシステムの開発および評価に使用予定。
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Research Products
(12 results)