2013 Fiscal Year Research-status Report
床のすべりやすさの評価およびその違いによる歩行動作の分析
Project/Area Number |
24500668
|
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
松浦 洋司 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (30278907)
|
Keywords | 床のすべりやすさ / 動摩擦係数 / 静摩擦係数 |
Research Abstract |
平成24年度は、本研究で開発した鉛直荷重増加時の動摩擦係数測定試験機による動摩擦係数と既存のすべり試験機による静摩擦係数の間に違いがあることが確認されたため、平成25年度は、さらに靴底材料と床材の組み合わせを変え、両者の比較をするとともに、その違いの原因について検討を行った。 床材は、平成24年度のフローリング、Pタイル、クッションフロア(CFシート)に加えて、モルタル床とアスファルトについて検討した。また、靴底材料については、運動靴などに用いられている天然ゴム(硬度65)と人間の足裏に近いとされているシリコンゴム(硬度50)を使用した。床の表面は、乾燥状態(dry)、水付着状態(wet)および油付着状態(oily)の3種類とした。 その結果、動摩擦係数は乾燥状態が最も高く、水付着状態、油付着状態の順に低くなるが、静摩擦係数は乾燥状態と水付着状態がほぼ同じ値となった。これは、動摩擦係数が鉛直荷重をゼロから増加しながら測定するため靴底と床表面との間に水が存在するのに対して、静摩擦係数はおもりの荷重をかけてから測定するため水が排除され乾燥状態に近い状況になっているため考えられる。ただし、モルタル床では表面状態に関わらず動摩擦係数と静摩擦係数共にほぼ同じ値を示した。これはモルタル床が水や油の吸収性が高いためだと考えられる。 靴底材料としてシリコンゴムを用いた場合、動摩擦係数は天然ゴムとほぼ同じ傾向を示したが、静摩擦係数は乾燥状態と水付着状態で異なる傾向を示した。 上記の今年度に得られた結果から、靴底材料と床材の間の液体の挙動が、床のすべりやすさに大きな影響を与えているという知見が改めた確認された。これらの結果は、国際会議および国内学会にて発表した。 さらに、歩行動作の分析を行うための床反力計の設計を行い、力センサの選定・購入および床反力計の製作を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の内容は以下の通りである。床のすべりやすさを評価するための動摩擦係数測定装置を開発し、鉛直荷重が増加する際の靴底材料や床材料の変形に伴う摩擦係数の変化や床の表面状態の違いによる影響について検討を行う。その際、床表面に液体が付着している場合、靴底と床表面の間の液膜が鉛直荷重の大きさによって変化することが考えられるため、その摩擦係数への影響についても検討する。また、静摩擦係数を測定し、動摩擦係数との比較をすることにより、床のすべりやすさの評価方法を検討する。さらに、床と靴底材料の組み合わせなどの条件の違いによるすべりの違いが歩行動作にどのような影響を与えるかについて検討する。 このうち、今年度の計画は以下の通りである。 (1)さまざまな靴底材料と床材の組み合わせについて、動摩擦係数と静摩擦係数の測定を行い、両者の違いを把握する。 (2)床のすべりやすさの評価方法について検討する。 (3)歩行動作を分析するための床反力計の試作を行う。 上記の計画のうち、(3)については現在試作中であり、若干遅れが生じているものの、(1)(2)については順調に進んでおり、当初の目的は達成している。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成26年度は、現在試作中の床反力計を完成させ、靴底材料と床の組み合わせを変えたときの歩行分析を行う。そのために、製作担当者と測定方法担当として2名の学生による体制として研究を推進させる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会発表として国際会議での発表を行ったため、科研費ではなく大学経費である研究費を使用したため、若干余りが生じた。 平成26年度は国内での学会発表など2回実施する。
|
Research Products
(2 results)