2012 Fiscal Year Research-status Report
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24500669
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
早川 恭弘 奈良工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (50180956)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 福祉用具・支援機器 / 歩行 / 靴 / 空気圧 / 圧力分布 / 組込み技術 / HMD / Android |
Research Abstract |
本年度は, 歩行時における足裏部の圧力変化を読み取り,コンピュータ画面上に足裏部荷重変化状況を提示する計測システムを開発した. すなわち,高機能靴中敷きに配置された圧力センサの値を計測回路部でA/D 変換し,上位コントローラであるコンピュータへ無線送信するシステムを試作した.そして,得られたデータをコンピュータ上で処理し,圧力値及び色相への変換を行うことにより,リアルタイムに足裏部の圧力分布の変化を視覚的に確認することができることを示した.実験結果より,足裏部の圧力値が色相の変化によって,足部のどの位置に荷重負荷が掛っているか,直観的に知ることが可能であることが分かった.また,提示機能によって得られる視覚情報から,歩行者自身や歩行訓練補助者が歩行状態をリアルタイムに把握することが可能であることを示した.さらに,足裏部の圧力分布データをHMD(ヘッドマウントディスプレイ)装置及びタブレット端末装置にリアルタイムで表示させるために,Android及びWiPortを用いた計測システムを試作した.その結果,足裏部圧力値を数値としてHMDに表示させることに成功した. 高機能靴の有効性を定量的に示すためには,評価装置が必要である.そこで,本年度は,高機能中敷きを定量的に評価する歩行評価措置を,空気圧シリンダ,ロータリーアクチュエータを用いて試作した.そして,より人間らしい歩行動作を実現するために,ゴニオメーターのデータをマスター側データとし,歩行評価装置をスレーブ側装置とするマスター・スレーブシステムを検討した.今年度は,基礎実験として,マスター側装置のデータ収集を行った.具体的には,ゴニオメーターを身体足部に装着し,足部拘束有無(踵部から太腿部までを拘束)による通常歩行,階段昇降時における歩行パターンの特徴を明らかにした.そして,身体を拘束した場合における歩行のし難さを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した今年度の研究目的は,1)圧力分布測定及びバランス調整提示機能を有する高機能靴の製作,2)中敷き部センサデータをリアルタイムにグラフィックで表示するシステムの構築,3)高機能靴の生体への影響を検証する歩行シミュレータ装置の開発である.それに対し,今年度達成した内容は,以下の内容となっている. 1)足部圧力分布を測定可能な靴の試作を行った.そして,AVRマイコンを使用することにより,測定データをSDメモリカードに格納するシステムを構築した.さらに,計測回路部及び提示システム部のデータ送受信にXBeeと呼ばれる小型の無線モジュールを使用した.これにより,測定データを無線により転送するシステムを構築した.しかし,足部バランスを直接足裏部に提示するための機器(加減圧ポンプ,切替弁など)が装着されていないことから,現時点では未だ足裏部に足部バランスのズレを提示することができない(年度目的では,足裏部への提示システムを試作としているので,早急に取り組みたい).2)中敷き部のセンサデータ結果の表示に関しては,現在,足部の圧力分布状態をグラフィックでパソコンへ出力可能となっている.また,HMDに対しては,中敷き部のデータ(数値)のみ表示可能となっており,今後,HMD及びタブレット端末に足部圧力分布をグラフィックで表示させることを検討する.また,タブレット操作により所定の中敷き要素を加減圧する方法について検討した(今年度の目的をほぼ達成している).3)歩行シミュレータ装置に関しては,空気圧アクチュエータを用いた装置の試作及びゴニオメータによる身体足部の角度測定を行った.今後は,ゴニオメータをマスター側装置,評価装置をスレーブ側装置とするマスター・スレーブシステムを構築する(今年度は,マスタースレーブ装置の試作としたが,継続して検討する).
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的を推進するために,研究内容を以下の項目に細分化し,各項目に関して検討する. 1)足裏部圧力分布変化の状態をリアルタイムにHMD及びAndroid端末に表示.2)バランス調整提示機能を靴に搭載するために,足裏部に配置したゴム要素(研究室で開発)を加減圧する装置の開発,3)Android端末装置のタッチパネル操作により,靴中敷部ゴム要素を加減圧するシステムの構築,4)ゴニオメーターをマスター側装置,靴評価装置をスレーブ側装置とするマスター・スレーブシステムの開発,5)靴評価装置による試作高機能靴の生体への有効性を定量的に評価,6)高機能靴使用時における生体への影響評価. ここで,1)に関しては,市販されているHMDの中で効果的な使用が可能な機種を再度選定する.そして,Androidを深く理解することにより,センサによる測定結果を情報提示する方法実現を推進する.2)では,ゴム要素を加減圧するには,切換弁,ポンプ,圧力センサ,制御基板,バッテリー,配管,配管用継手などが必要になる.そこで,機器メーカのカタログなど情報収集を積極的に行い,靴に装着可能な形状の機器を選定することにより,システム全体の小型化を押し進める.3)では,タッチパネル操作による端末装置からの出力信号を解析し,他の装置を駆動させる方法を確立することにより,目的を達成する.4)のマスター・スレーブシステムに関しては,評価装置駆動のために最適なゴニオメーター配置場所を検討することにより,システム構築を推進する.5)及び6)の生体への負担に関しては,身体負担度評価方法を文献調査する事により、効率的な解析方法を押し進める. 特に,HMD及びAndroid端末への出力に関しては,組込み技術が必要であることから,担当学生を再教育する.そして,学会発表を積極的に行うことにより一定の効果を定期的に達成させ,研究を推進する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,1)圧力分布変化をリアルタイムにHMD及びAndroid端末に表示.2)足裏部に配置したゴム要素を加減圧する装置開発,3)Android端末装置操作による中敷部ゴム要素加減圧システムの開発,4)ゴニオメーターと靴評価装置で構成するマスタースレーブシステムの開発,5)靴評価装置による試作高機能靴の生体への有効性を定量的に評価,6)高機能靴使用時における生体への影響評価 などの項目を主に検討する.そこで,これらの項目を実施するために必要な機器及び消耗品を購入する.以下,各項目に関して具体的に説明する. 1)HMD装置に関しては,使用者にとって使い勝手の良い機器が必要不可欠である.そこで,数種類のHMD装置(ビデオアイウェアディスプレイ)を購入し,使用感(視野性及び提示機能性能)などを検証する. また,中敷部に配置した圧力計測部をHMD装置及びAndroid端末装置に送信するための通信機器に関しても再度検討し,必要な部品を購入する.さらに,耐久性を有する中敷を実現するための材料の購入と中敷部内部の圧力を計測するための部品の購入を検討する.2)中敷部要素を加減圧するための機器を購入する.また,3)Android端末装置と中敷部制御回路間の通信用部品を購入し,タッチパネル操作による中敷部弁切換え制御を検討する.さらに,4)ゴニオメーターの出力結果を靴評価装置への入力信号とするために,ゴニオメーター装着部位および評価装置の自由度を再検討する.そこで,ゴニオメーターセンサ,インターフェース関連部品,評価装置改良部品を購入する.次に,5)靴評価装置の有効性を検証するため,筋電位センサなど生体計測用部品を購入し,生体と評価装置との整合性を明らかにする.さらに,6)高機能靴を履いたときの生体情報を計測するため,3軸ジャイロセンサおよび腕時計型行動記録計を購入する.
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Research Products
(8 results)