2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500670
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
春山 和男 宇部工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (60270336)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 離床検知 / 超音波レーダー / 電灯線通信 |
Research Abstract |
本研究では、ナースコールの整備されていない中小高齢者用福祉施設や一般家庭において使用可能な超音波レーダ型離床検知装置および電灯線通報装置について研究することを目的として研究を行った。 超音波レーダ型離床検知通報装置は、開放型超音波送受信素子を用いるものについては十分なものが試作できた。しかし、最終的に使用したい防水型超音波送受信素子を用いるものについては未だ改良の途中である。その一方で、この装置を用いて他の用途に使用できないかといった検討も行った。 電灯線通信装置については、装置の基本的な回路構成の検討や試作を行った。こちらについては電波法を順守しつつ必要な通信を行うための装置の構成を検討している段階である。通信速度はあまり重要でなく、確実に伝える方法が求められており、同時に既存の家電製品に悪影響を与えないような装置を製作するための様々な検討を行っている。 これらの研究を進めるにあたり、本助成金で購入したベッド一式が非常に役立った。具体的には、福祉施設や病院に行かなくても実際の施設のベッドを用いた場合と同様な実験ができるようになったため、試作毎にそれらの施設に赴く必要がなくなり、大幅な時間の節約になった。また、フィールド試験においてはどうしても施設の職員の皆様に負担をかけることになってしまうが、それが最小限で済むことになった。 上記の装置の製作を進めつつ、よりよい装置にするために、様々なセンサや回路についての検討も行った。それらのうち、例えばホール素子や磁気抵抗素子や焦電センサ等についてはもう少し検討を進め、使えるようなら本研究で取り上げたいと思っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超音波レーダ型離床検知通報装置については、基本となる回路の開発はほぼ予定通りに進んでいる。空中開放型超音波センサを使用したモデルについては、ほぼ仕様も固まった。ただ、発展型となる防水型超音波センサを使用したモデルでは、ほぼめどが立った段階になったときに、使用を予定していた防水型超音波センサが入手不能(メーカー廃番)になってしまったため、代替え品を探す必要が生じてしまい、回路の見直しが必要になってしまった。代替え品が見つからない場合、製作が滞ることになるかもしれない。また、代替え品次第では回路構成そのものの見直し等が生じる可能性がある。このため、代替え品を早期入手する必要があり、現在探している最中である。 電灯線通信装置については、開発が多少遅れ気味である。理由としては、電波法へ適合させるために各回路を構成したが、それに思ったより時間を取られてしまったことが挙げられる。法律なので遵守する必要があり、時間がかかってしまった。また、送信するデータの仕様についても今後のことを考えて設計をやり直したため、これも時間がかかる要因となってしまった。これらの結果として、大まかな回路構成は完成したものの、細部を煮詰めることができなかった。この点については、今年度に継続して検討を進める予定である。 これらに加えて、上記の研究で得た成果を他の用途に利用できないか検討を行っている。他の用途にも利用できれば、それだけコストダウンにも繋がり、利用価値が上がるからである。いくつかのおもしろい結果も出ており、それらも今後、研究を進めていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、各々の装置について、さらなる試作や改良等を進める。超音波レーダ型離床検知通報装置は、防水型超音波センサを使用するための検討を進める。従来の開放型超音波センサでは利用できる場所が屋内の水がかからない場所に限られていたが、これが利用できれば、利便性の向上とともに浴室や屋外へと利用可能範囲が広げられるからである。ただし、前述のとおり使用を予定していた防水型超音波センサが入手不能(メーカー廃番)になってしまったため代替え品を探す必要があり、それが見つからなければ作業が滞ってしまう恐れがある。 電灯線通信装置は、回路の構成を検討し煮詰め、試作を進めて実際に試用できる装置の製作を図る。装置の製作後、まずは研究室レベルでの各種試験を行い、結果をフィードバックして、実用に耐える装置の製作を目指す。現在は送信機と受信機が1対1のシステムを製作しているが、最終的には多数対1や本システム複数の同時使用にも耐えるような装置を製作することが目標である。 同時に、これらの装置について、当初計画した用途以外の用途への転用についても研究を行う。超音波センサを用いた各種装置は、人体への影響がないため様々な用途に転用することが考えられる。電灯線通信装置は、小規模な施設や一般家庭でのナースコール的な使用も視野に入れた開発を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、プリント基板作成装置を導入する。従来は、各種装置の試作に使用する回路用基板の作成は、エッチングを行うかまたは本校他研究室の所有するプリント基板作成装置を利用させてもらい作成していたが、エッチングは手間がかかることと廃液処理等の問題があること、他研究室のプリント基板作成装置は旧型のため必要な加工精度が得られないという問題があったので、十分な機能を持ったプリント基板作成装置を購入してこれらの解決を図る。同時に、エッチングと異なり作業のための事前準備が不要なこと、利用させてもらっているプリント基板作成装置を所有する他研究室との時間調整が不要になるため試作が迅速に行えるようになること、基板データを作成したら直ちに試作が可能なこと等から、大幅な効率アップが図られる予定である。 上記装置の導入と並行して、各種センサについて検討を行い、本研究に取り入れられるものを探してゆく。そうしてよりよいものを開発してゆくつもりである。
|
Research Products
(4 results)