2012 Fiscal Year Research-status Report
サーフレスキューにおける救助力向上のためのボードパドリングに関する研究
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24500752
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Josai International University |
Principal Investigator |
深山 元良 城西国際大学, 経営情報学部, 准教授 (60406759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 雅信 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (50159498)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ライフセービング / サーフレスキュー / ボードパドリング / ニーリングパドル / ストロークパドル / ボード速度 / ストローク頻度 / ストローク長 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ボードパドリングの動作分析を行い、今後の救助活動や技術指導のための知見を得ることである。この目的を達成するために、平成24年度は被験者を選考し実験を実施した。実験の被験者は、熟練者(全日本ライフセービング選手権ボードレース決勝進出者)と未熟練者(一般大学生ライフセーバー)の男女を対象とした。実験は、室内50mプールにおいて約40mの直線コースにおけるニーリングパドル(K-Pad)とストロークパドル(S-Pad)の全力パドリングを行わせた。研究実施計画のとおり、第1段階の分析として、熟練者におけるK-PadとS-Padを比較した。その結果、先行研究によって明らかとなっていない以下のような有意義な知見が得られた。 1.K-PadとS-Padの最大ボード速度は、ともに25-30m区間に出現し、K-Padの最大ボード速度(2.77 m/sec)はS-Pad(2.57 m/sec)に比べて7.8%速かった。 2.K-PadとS-Padの最大ボード速度の差は,K-Padのストローク頻度がより高値であることが一因であると示唆された。 3.K-Padの男子最大ボード速度は3.02 m/sec(25-30m区間)、女子は2.55 m/sec(20-25m区間)であった。S-Padの最大ボード速度は、男女とも25-30m区間に出現し、男子2.73 m/sec、女子2.40 m/secであった。両パドリングとも男子の最大ボード速度は、女子に比べて有意に高かった。 4.K-Padにおける男女のボード速度の差は,男子のストローク長がより高値であることによると示唆された。 5.両パドリングともに、ボード速度はストローク頻度よりもストローク長に影響を受けており、ボード速度を向上させるためにはストローク長をより増大させることが重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、被験者の選考を行い、以下の分析を行うことを計画していた。 1.ボードパドリングの動作分析実験を実施すること 2.熟練者におけるニーリングパドルとストロークパドルを比較・分析すること 3.熟練者と未熟練者のボードパドリングを比較・分析すること 4.成果を国内の関連学会にて発表すること これらの計画に対して、おおむね計画どおりに進展している。実験は、熟練者と未熟練者(男女を含む)を対象として室内50mプールで実施し、結果を分析するための十分な被験者数を確保した。熟練者における2種類のボードパドリングの比較・分析では、ボード速度、ストローク頻度、ストローク長に着目し、それぞれのパラメータの比較を行った。この熟練者における2種類のボードパドリング比較研究の成果は、日本海洋人間学会(平成24年9月)、および日本ライフセービング協会主催ライフセービングフォーラム(平成25年3月)で発表を行った。日本海洋人間学会での発表は、専門家に対して、サーフレスキューの技術を向上させるための有用な情報を発信することができた。また、日本ライフセービング協会主催のライフセービングフォーラムでの発表は、現場のライフセーバーに対して、直接的に情報を発信する良い機会となった。また、熟練者と未熟練者の比較・分析は、結果の分析がおおむね終了し、平成25年度に関連学会で発表するとともに、関連学術雑誌に論文を投稿する計画である。さらに、現在、ボードパドリング動作にかかわる種々の関節における関節角度・角速度などの分析を行っているところであり、これらについても分析が終了次第、結果を関連学会等で公表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は、当初の計画どおり、おおむね順調に進展しているため、今後も計画どおりに研究を進めたいと考えている。特に、平成25年度は、ドイツで開催される関連国際学会(2013 World Conference on Drowning Prevention)で、成果を発表することを計画しているため、科研費をその発表のために使用したいと考えている。研究期間をとおして、以下の比較研究を行うことを計画している。 1.熟練者におけるストロークパドルとニーリングパドルの比較研究 2.熟練者と未熟練者のボードパドリング比較研究 3.男女のボードパドリング比較研究 4.救助用と競技用のボードにおけるボードパドリング比較研究 これらの内、熟練者におけるパドリングの比較研究、および男女のボードパドリング比較研究は、平成24年度中に関連学会で成果を公表できた(論文は査読中)。したがって、平成25年度は、熟練者と未熟練者のボードパドリング比較研究をメインテーマとして研究を進めたいと考えている。また、平成24年度は、それぞれの比較研究の手法として、ストローク特性(ボード速度、ストローク頻度、ストローク長)を分析した。平成25年度は、これに加えて、ボードパドリング動作にかかわる関節の角度、および角速度にも着目して分析を進めていきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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